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服部 茂史 騎手(北海道)

2008年07月20日

 

  

昨年のホッカイドウ競馬でリーディング2位に躍進した服部茂史騎手。
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今年も当然、リーディング争いに加わるはずで、その手腕には大いに期待がかかる。
 服部騎手は、ホッカイドウ競馬に所属する前は、中津競馬(大分県)で騎乗していた。

■生まれは北九州市です。競馬を意識したのが、オグリキャップで競馬ブームになっていた中学の頃。
そして3年生になって進路を考えるとき、学校の先生に「騎手になったらどうだ」と勧められたんです。

その言葉をうけて騎手を目指した服部少年は、JRA競馬学校の騎手課程を受験。しかし
思わぬ問題が立ちはだかった。

■視力が悪くて、落ちてしまったんです。その後、中津競馬場にお世話になって、地方競馬の
騎手試験を受けましたが、やっぱり視力で落ちて。当時は試験が年に2回ありましたが、2回目も
3回目もダメでした。教養センターの人からも「実技も学科もできているから、あとは目だけ」と。

でも視力ですからね。困っていたそのとき、中津の調教師が視力矯正の医者を見つけてくれたんです。
さっそく診察に行って切開して......。怖くなかったですよ。騎手になりたい気持ちのほうが強かったですから。

その思いは通じ、4回目の試験は無事に通過。そして地方競馬教養センターでの
日々が始まった。

■ぼくは厩舎の仕事をずっとやっていたので、実は学校の生活のほうが楽でした。卒業後に
中津に戻ったら、朝から昼くらいまで調教して、その後は厩舎作業。昼休みはありましたが、
若手なので雑用も多く、休憩にならないことも多かったですから、やっぱり学校のほうが楽でした(笑)。

そんななかで確実に実力はついていき、99年には年間の騎乗回数が中津で1位に。
しかし転機も近づいていた。

■中津競馬の存続が怪しくなっていることは感じていました。そんなとき、中津に来ていた
元ホッカイドウ競馬の調教師に「乗りに来てもいいぞ」と声をかけられたんです。招待競走で、
旭川で乗った経験も後押しになりました。

その決意から2000年9月に渡道して、旭川競馬場から新たなスタートを切ることとなった。

■旭川競馬場は、中津と似ている感覚があったので、スムーズに入ることができました。でも札幌と
門別は多少時間がかかりました。門別では3〜4コーナーくらいまで仕掛けを待たないといけないの
ですが、つい向正面で仕掛けてしまったり。

札幌で難しかったのは1000メートル戦。中津で乗っていた800メートル戦では、とにかく行って
しまえば最後までもつのですが、1000メートルではどこかで息を入れなければもちません。
そのタイミングを会得するのに試行錯誤をすることになりましたね。

そして、中津にはなくて北海道にあるものが、デビュー前の2歳馬の馴致。寒い時期に若駒に
競馬を教え込む作業は、苦労が多いように思えてしまうが。

■いやいや、全然そんなことないですよ。けっこう楽しいものですし、2歳馬にハミを教えていくことで、
自分のレース中の技術が向上しましたし。それに、2歳馬を自分でしっかり育てて、大きいレースを
獲ってみたいという思いもあります。もちろんそれぞれにむずかしい面がありますが、やりがいも
大きいと感じています。

順調に成長した2歳馬たちの最初の目標は、認定戦の勝利だ。

■やっぱりどの騎手も狙っていると思います。でもその前に、自分の馬がちゃんと走ってくれるかですよ。
まずゲートにいちばん気をつかいます。練習と実戦は違いますし、とにかく自分の馬をうまく走らせる
ことのほうに、より神経は行きますね。

そのなかでうまく認定競走を勝利できれば、JRAに参戦するというチャンスも生まれてくる。

■そうですね。中央に乗りに行くのは楽しみのひとつです。中央での初勝利は、カツマサケン
(2002年8月3日、美利河特別)。函館の芝1200メートル戦でしたが、ものすごい万馬券になりました
ねえ(単勝249.2倍)。あのときは、返し馬での芝の感触がよかったので、じっくり行けば最後は伸びる
と思っていました。レースでもそのとおりの走りで、3コーナーあたりでオッと思って、4コーナーでは確信
に変わりました。

いやあ、うれしかったですよ!旭川に戻ってきたら、みんなが祝福してくれて。あれは思い出に残る
レースですね。

そして昨年はブルータブーで、北海優駿連覇の偉業を達成した。

 


■あのときは、返し馬のときに勝てるという手ごたえを感じました。ブルータブーでも芝のレースを
経験しているのですが、ノメってノメって全然ダメで、完全にダート向き。北海優駿のあと、ジャパン
ダートダービーに遠征に行きましたが(7着)、あれは馬にとっても自分にとってもいい経験になりました。
やっぱり他場に乗りに行くと、いい刺激になりますね。
 
その経験の裏付けは騎乗依頼につながり、昨年はホッカイドウ競馬所属騎手で最多騎乗(629回)となった。

■でも、昨年は落馬で腰の横の骨を折ってしまって、夏に1カ月間の休養があったんです。ケガの
程度のわりには、早く復帰できたので助かりましたが。開催中は休みがほとんどありませんが、
楽しいから大丈夫ですよ。

でも唯一つらいのが、ナイター開催時。レース中は全神経を集中させているので疲れなどは全然感じ
ないのですが、最終レースが終わって馬具の手入れをしているときに、ドッと......。
そして朝は2時起きですから(苦笑)。

インタビューのなかで、いわゆる苦労話を聞きだそうと何度か試みたのだが、そのたびに
かわされてしまった。というより、本当に苦労を苦労と感じていないようなのだ。にこやかな
表情と「頼まれたら断らない」という性格は、確かな技術と相まって、成功しているのも納得
という印象だ。「お客さんからの注目を感じるとうれしい」という服部騎手。これからもその
職人魂で、好騎乗をみせてくれることだろう。

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服部茂史(はっとりたかふみ)

1976年3月14日生 魚座 O型
福岡県出身 楠克美厩舎
初騎乗/1994年10月8日
地方通算成績/7,764戦682勝
重賞勝ち鞍/北海優駿2回、王冠賞、瑞穂賞、
ステイヤーズカップ、エトワール賞、フロー
ラルカップ、フロイラインカップ、アラブ王
冠(中津)など11勝
服色/胴青・黄ひし山形、そで桃
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※成績は2008年5月29日現在

(オッズパーククラブ Vol.10 (2008年7月〜9月)より転載)

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