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筒井 勇介 騎手(笠松)

2011年10月22日

今年デビュー10年目を迎えた、笠松の筒井勇介騎手。昨年は名牝エレーヌとのコンビで地方競馬を席巻し、全国にその名を広めました。これまでの騎手生活や、エレーヌの想いでについてお聞きしました。

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赤見:筒井騎手はどんなきっかけで騎手を目指したんですか?

筒井:単純ではあるんですけど、きっかけはダビスタです(笑)。小学5,6年生の頃にハマって、面白そうだなと思ってて。

でも僕は電気屋の長男なんで、工業高校行っていつか実家を手伝えればなと漠然と思ってたんですよ。それが中学2年の時に、背も小さいし本格的に騎手を目指してみようと決心したわけです。

赤見:ご家族は反対しませんでした?

筒井:最初父が、「お前なんかがなれるわけないだろ!厳しい世界なんだぞ」って感じで反対しましたけど、すぐに好きなようにやれって言ってくれました。

中学を卒業してそのまま牧場に就職したんですけど、実は1か月で辞めて実家に帰ってしまったんです...。

赤見:1か月で?!何が原因だったんですか?

筒井:まぁ色々ですけど、結局は人間関係ですね。なんかゴチャゴチャしちゃって。
それで半年間何にもしなかったんです。騎手になる夢も諦めようかなと思って、実家の仕事を手伝ったりしてました。

そんな生活の中で、趣味程度と思って乗馬を始めたんです。そしたらまた火がついちゃって(笑)。

赤見:そこからまた騎手を目指したんですね。

筒井:そうですね。結局2年くらいは宙ぶらりんな時期がありました。今になって思うと、その期間て僕にとってはすごく大事で、必要な時間だったと思います。

あの2年があったからこそ、地方競馬教養センターでもホームシックにならなかったし、辞めようとも思わなかったですから。

赤見:最初の挫折を乗り越えて、無事に騎手デビューしたわけですけど、初勝利はデビューしてすぐでしたよね。

筒井:デビュー5日目です。そんなに早く勝てると思ってなかったんで、本当に嬉しかったですね。800m戦で、逃げて勝ったんですけど、今思うとハナに行かせてもらった感はありましたね。あの頃は無我夢中でそういうのもわかんなかったですけど。

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赤見:そして2年目は32勝とブレイクしました。

筒井:減量特典もあったし、本当にいい馬をたくさん乗せてもらってて、毎日がとにかく楽しかったです。

でも、次の年に厩舎を移籍して、一気に乗れなくなりました。所属にしてくれた田口輝彦調教師は新規で開業したばかりで、どうしても技術のある上位の騎手を優先して乗せることが多くて。でも調教する馬はたくさんいるので他の厩舎を手伝うことも出来なかったんです。あの頃はほとんどレースに乗ってなくて、もう辞めようかな...と思いました。

赤見:そこからどうやって立ち直ったんですか?

筒井:とにかく真面目にやってようと思いました。じっと耐えてて、あと1年このままだったら本当に辞めようって腹を括ったんです。

ちょうど1年後くらいに、三谷厩務員(エレーヌ担当)が声をかけてくれて、山中輝久厩舎を手伝うようになったんです。そこで【オグリホット】という馬に乗せてもらって、たくさん勝てたことが大きかったですね。

その頃、高崎が廃止になって法理勝弘調教師が笠松に移籍してきて、乗せてもらえるようになって...いいサイクルに変わりました。

赤見:最初のきっかけが、【エレーヌ】担当の三谷厩務員だったんですね。

筒井:そうなんですよ。【エレーヌ】に乗せてもらったのはたまたまだったんですけど、最初は冬毛ボーボーでもさもさしてて、「この馬走るのかな?」って感じだったんですけど、レースしたら5,6頭の外をマクって勝ったんです。こりゃ走るなって実感しました。

その次のレースは、吉田稔騎手騎乗でJRAに遠征したんですけど、その時にもたれちゃって追えなかったということで、園田の『クイーンセレクション』ではリングバミに変えたんです。レースは余裕の強さで、直線で内からステッキを振りかぶった時にいきなり内に飛び込んで...落馬してしまいました。見てたみなさんもびっくりしたと思いますけど、後ろにいた田中学騎手が一番びっくりしたんじゃないですかね。僕を踏んだ手ごたえはあったと思うし、僕も「もうダメだ...」って思いましたもん。幸い当たり所がよかったので、大きな怪我はしなかったですけど。

赤見:あのレースは本当にびっくりでした。【エレーヌ】はちょっと気性の激しいところがあったんですか?

筒井:そうですね。ちょっとありました。でもあの落馬はちょうどステッキを振りかぶる時で、片手手綱になってたので、タイミング的に制御出来なかったんです。【エレーヌ】は悪くないんです、本当に。あのレースで同じ馬主さんの【コロニアルペガサス】が勝ってくれたんで、なんとか僕のクビも繋がった感じですね。

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〈SAKAMOTO CHIZUKO〉

赤見:そして『東海ダービー』を快勝しました!

筒井:ここでダービー勝てなかったら一生勝てないと思って、馬を信じて乗りました。【エレーヌ】は行きだした時のバネがとにかく凄い。本当に色んなことを教えてもらいました。
最後は可哀想なことになってしまって...ものすごくショックでした。

赤見:体調不良で亡くなった時は、私もとてもショックでした。たくさんのファンのみなさんも同じ気持ちだったと思います。

筒井:いつもいつも一生懸命に頑張ってくれた馬でした。あの馬のお陰で色んな競馬場に行って勝たせてもらって、ファンの方にも声かけてもらって...。とても充実した時間を過ごさせてもらいました。

赤見:【エレーヌ】の存在は、とても大きいですよね。

筒井:あんな馬にはなかなか出会えないですよ。他の馬たちももちろん頑張ってくれてるけど、【エレーヌ】は別格ですから。

最近の僕は、スランプというか、試行錯誤中なんです。勝てないことが続いてて、そのせいで焦りすぎてしまって...。ドンと構えていたいんですけど、つい焦ってしまうんです。この流れから早く抜け出せるとうに、今は色々考えながらやってます。

赤見:それでは、今後の目標を教えて下さい。

筒井:今年も元気のいい2歳馬たちが入って来てるし、楽しみな出会いが期待出来そうです。ダービージョッキーの名に恥じないよう、もっともっと腕を磨いて頑張ります!

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※インタビュー / 赤見千尋

 

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