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大柿 一真 騎手(兵庫)

2012年02月28日

大柿騎手(22歳)といえば、『園田プリンセスカップ』(昨年9月22日)で初重賞制覇を成し遂げた表彰台で、恋人にプロポーズをしたことで一躍有名になった騎手です。

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竹之上:まずはプロポーズに至った経緯を教えてくれる?

大柿:もうそろそろ彼女と結婚しようかなぁと思ってたころで、そんなことを調教中に北野(真弘騎手)さんに話してたら、「お前今度重賞で勝てそうな馬がおるやろ。その表彰式のときにしたらどうや」って言われたんです。

なんと、あの衝撃プロポーズは、北野騎手の発案だったのです!

レースの前の週、騎乗するアスカリーブルの話を訊きに行ったとき、神妙な顔で大柿騎手がにじり寄り「実はそのことで相談が...」と言ってきたのです。「もし勝ったら、当日来る彼女に表彰台からプロポーズをしたいんですけど、そんなことをしてもいいですかね」と。

竹:ええがな、前代未聞やけど、やってみたらええがな。って言ったけど、あかんって言ってらどうしてた?

大:どんな形でもプロポーズはしようと思ってました。結果的に表彰台で伝えることができて良かったです。でも、あのときはめっちゃ緊張しましたよ。

竹:そうやな、若手騎手が初重賞制覇するわけやし、嬉しくてたまらないか、涙を見せるかっていうのが相場やけど、ガチガチになって青ざめてた感じやったもんな。

大:あの日は乗り鞍自体があのレースだけだったので、朝からレースのことばっかり考えてました。内枠だったので、初めて砂をかぶる競馬になったらどうしようと不安になっていました。だから勝ったあとはホッとするところなんですけど、まだこのあとやることがあるんやと思ったら、めっちゃ緊張してきて...。

「こんなぼくですが、結婚してください!」と直球のプロポーズ。もちろん成功して、3月3日に入籍。3月30日に挙式の運び。多くの人が見届け人になったわけやから、絶対に幸せになるように!

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竹:甘い新婚生活が待っているところやけど、6月から南関東の船橋で期間限定騎乗することが決まってるんやね。

大:そうなんです。でも、彼女には早い段階から遠征に行くってことは言ってましたから、納得してくれてます。それより、自厩舎(山口浩厩舎)の方が気がかりで...。だから先生になかなか言えなかったんです。

竹:厩舎に迷惑がかかることを心配したの?

大:調教している馬の数は、西脇トレセンの中でもかなり多くやっている方だと思います。だから、ぼくが船橋に行っている間、誰かに負担がかかるわけじゃないですか、それがあるので先生からお許しが出ないんじゃないかと思ったんです。

竹:でも先生は許してくれたんやね。

大:意外にあっさりね(笑)。「何かつかんで帰ってくるんやったらええよ」って。

竹:いいこと言ってくれるねぇ。

大:「調教がしんどくなるなぁ」って冗談で言われましたけどね(笑)。ただ、調教がしんどくなるのは事実なので、だから3ヶ月まで遠征できるんですが、2ケ月の申請にしたんです。うちの厩舎のことを考えると、それが限界かなと。

船橋での所属厩舎は天下の川島正行調教師の息子さんである川島正一厩舎となりました。

大:うちの厩務員さんが大井の関係者と親しいから聞いてみると言ってくれてたんですが、話がまとまらず、最後の切り札として取っておいた、川島正太郎(船橋騎手)に直接電話をして頼んでみたんです。ぼく彼と同期なんですよ。

竹:ええカードを残してたなぁ。そういえば、アスカリーブルは川島正行厩舎に移ったんやね。ひょっとして騎乗依頼があったりして。

大:それはないでしょう。あったら嬉しいですけどね(笑)。でも、川島正一厩舎にも、うちの厩舎にいたプレミールサダコがいるんですよ。何かの縁かなぁって思いますね。

竹:アスカリーブルが『ユングフラウ賞』で強い勝ち方したよね。どう見てた?ずっとこっちにいて乗り続けたかったとは思わない?

大:別に思いませんね。移籍はしょうがないことですから。それより、デビューから乗せてもらって無傷の4連勝で重賞制覇させてもらったんですから、すごく感謝しています。結婚にも繋がりましたしね(笑)。とにかくアスカの活躍は素直に嬉しいです。

デビューから5年目を迎える大柿騎手。初年度に16勝。2年目には50勝(リーディング12位)を挙げる大活躍。しかも騎乗回数は群雄割拠の兵庫において、新人としては破格の842回という騎乗数。これはその年の39名中、5位の記録だったのです。

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しかし、その後は23勝、29勝と落ち込み、今年は2月23日現在、まだ2勝。乗り数も大きく減少傾向にあり、完全に伸び悩みといえる状況です。

大:はい、完全に伸び悩んでいます。デビューした頃はうまくいくことが多かったのですが、最近は...。周りの人からは下半身が不安定やと言われるんです。とくに理(おさむ・下原騎手)さんには厳しく指摘されますね。

竹:いくら先輩でも、本当は賞金を取り合うライバルなわけやし、アドバイスしてくれるってありがたいね。

大:本当に理さんには技術面でいつもいいアドバイスをもらっています。それから、精神面では北野さんにケアしてもらってますね(笑)どちらも面倒見のいい優しい先輩です。

竹:いい先輩に恵まれてるね。それで、新人のときにできたことが、いまできないのはどういうところだと思うの?

大:デビューしたての頃の方が、騎座がしっかりしてたんだと思います。教養センターでやってた鍛錬が効いていたんじゃないでしょうか。あのときの教官で杉山先生って方がいたんです。その先生に毎日課せられていた下半身強化のトレーニングがキツかったんですけど、すごい効果があったんです。

いまでも行き詰ると、杉山先生に連絡してアドバイスをもらっているという大柿騎手。その声に触れ、初心に帰ることに、はたと気付かされます。

竹:またそのトレーニングを始めたんやね。

大:毎日ってわけじゃないですけど、徐々に始めています。初心を思い出して、もう一度立て直そうと。そんな時期に南関東への遠征話も入り、結婚して家庭を築いていくわけですから、もっとしっかりせなあかんと思ってきたのです。一からやり直すぐらいの気持ちで頑張ります!

竹:最後に、今後の目標を聞かせてくれる?

大:技術としては理さんのようなレースができるようになりたいですね。ロスなく立ち回って、馬をスムースに動かすんですよね。それと、自厩舎の馬には全部乗りたいです。先生に「全部お前に任せる」って言われるぐらい信頼される騎手になりたいです。

竹:もうない?

大:本音を言えば、兵庫は川原さんや木村さん、学(田中騎手)さんなど、本当にすごい人たちばかりですよね。すごく勉強になるんです。だからこそ、ここでトップに立ちたいって、やっぱり思いますよね。

竹:うん、その言葉が欲しかった!南関東でも頑張ってな!

大:はい!何か見つけて帰ってきます!

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これから彼の騎乗ぶりの変化に期待しましょう。南関東での活躍にも期待しましょう。そして次に目標を訊いたときに、すぐさま「トップを獲りたい!」と言える逞しさが備わっていれば、兵庫県競馬の未来は明るいものとなるのです。

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※インタビュー / 竹之上次男

写真:齊藤寿一

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