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吉田 晃浩 騎手(金沢)

2012年03月14日

いよいよ3月11日(日)に、今シーズンが幕を開ける金沢競馬場。開幕に合わせて、金沢リーディング常連の、吉田晃浩騎手にスポットを当てました。

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赤見:まず騎手になるきっかけから教えていただけますか?

吉田「僕の場合は、中学を卒業して、北海道の静内にある育成技術者の養成学校に入ったのがきっかけです」

赤見:なんでその学校に入ったんですか?吉田騎手の生まれは神奈川県ですよね?

吉田「そう、神奈川です。実は小学校6年生の時に、北海道の過疎化が進んでる町に山村留学に行ったんですよ。僕の親がそういうのがあるって聞いてきて、面白そうだから行ってみようと思って

一年間、町の寮みたいなところに住んだんですけど、その時に馬に乗せてもらえる機会があったんです」

赤見:小学生で一年も親元を離れるなんて、すごい経験ですね。

吉田「う〜ん、あんまり深く考えてなかったというか(笑)。勢いで行く行くって感じでしたけど、実際いろいろ体験出来て楽しかったですね」

赤見:その時の体験で、馬の仕事をしたいと?

吉田「いや(笑)、すぐには思わなかったです。

中学生になって地元に帰ったんですけど、学校があんまり面白くないというか、勉強がしたくなくて...。馬の仕事したいって言ったのは、実は勉強をサボる口実だったんです(笑)」

赤見:正直ですね(笑)。それで中学を卒業して、静内で育成の養成学校へ?

吉田「そうです。そこの装蹄師さんから、背が小さいから騎手になってみないか?って言われて、現在の所属調教師(佐藤茂先生)を紹介してもらったんです。騎手っていう職業自体あんまりよくわかってなかったんですけど、面白そうだなと思って挑戦しました」

赤見:地方競馬教養センターの生活はどうでした?

吉田「キツかったです!!静内の時がゆる〜い感じだったんで、センターでの自由のない生活は本当に辛かったです。僕は短期生で半年間だったんですけど、けっこうイヤでしたね(笑)」

赤見:よくわかります!辞めようとは思わなかったですか?

吉田「辞めても後がないっていうか、することがなかったので耐えました。

センターを受験する時から佐藤先生にいろいろお世話になったので、辞めるわけにはいかなかったっていうのも大きかったですね」

赤見:佐藤先生は、もともとは上山所属でしたね。

吉田「そうです。廃止になってしまったけど、上山はすごく楽しかったですね。 僕は初騎乗初勝利をさせてもらったし、いろいろな思い出があります」

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赤見:2003年の廃止は、とても残念でしたね。

吉田「本当に残念です。あの頃はまだ若くて、よくわかってなかったというか、あまり実感がなかったんですけど。浦和に移籍出来ることが決まったし、新しい場所でまた頑張ろうと、前向きな気持ちでした。

でも実際、浦和に移籍してみて、甘くないなと痛感したんです。
「あ、乗り馬いねー...」って思いました(苦笑)。

今まで乗れたのは、佐藤先生がいてくれたお陰だったんだって、初めて気付きました。感謝の気持ちというか、有難みというか...失ってみて、初めて気付いたんです。

浦和で2年やったけど全然お金にならないし、ちょうど落馬して怪我をしたんで、もう辞めちゃおうって免許を返上しました」

赤見:その後はどうしていたんですか?

吉田「その頃父親が定年間近で、母親だけ先に北海道に移住していたんですよ。うちは行動力だけはある家系なんです(笑)。

それで僕も北海道に行って、ふらふらしてました」

赤見:ふらふらとは?

吉田「まぁ、フリーターですね。色んなバイトしましたよ。引越し屋さん、コンビニ、居酒屋、パチンコ屋...あと、漁師になる!って言って、和歌山まで体験しに行ったこともありましたね。どれも続かなかったけど」

赤見:フリーター生活から、競馬の世界にもどったきっかけは何だったんですか?

吉田「佐藤先生は金沢に移籍してたんですけど、ある日突然電話をくれたんですよ。「お前、今何やってんの?騎手やる気はないのか?」って。

それで、戻れるならもう一度挑戦してみたいと思ったんです」

赤見:金沢の内規では、再度騎手免許を取得するためには一年間の厩務員経験が必要だったんですよね?

吉田「はい。その一年は、全然苦じゃなかったですよ。改めて、自分は馬が好きだったんだなと感じました。騎手とは違う側面から競馬に携わってみて、面白かったし勉強になりました」

赤見:一見遠回りしたように見えますが、得るものも大きかったんですね。

吉田「本当にそうですね。再デビューした時は、「今度こそ絶対に乗り役で食べて行くぞ!」って思って、前よりもずっと真剣に仕事に取り組むようになりました。

前は甘く考えていたところもあったし、せっかく恵まれた環境があったのに、その有難みもわかってなかった。

今は調教でもレースでも、ひとつひとつ真面目に向き合うようにしています」

赤見:その甲斐あって、現在は4年連続吉原寛人騎手に続くリーディング第2位ですね!

吉田「もう本当に佐藤先生のお陰ですよ。再デビューしてからずっと乗せ続けてくれたので、他の厩舎の方々にも、少しずつ認めてもらえるようになりました。

今の僕があるのは、佐藤先生をはじめ周りのみなさんのお陰です。あの時電話をもらわなかったら、多分今もフリーターをやっていたと思いますから。本当に救われました。」

赤見:では、現在の目標を教えて下さい。やはり、打倒・吉原寛人!ですか?

吉田「もちろん、それもあります。ここのところ、ずっと2位という成績ですから、上は目指しています。

でも一番は、今を一生懸命生きるってことですかね。あんまり数字とか先のこととか考えてないです。今すごく楽しいし、怪我をしないでこのままずっと騎手を続けていたいなって思ってます」

赤見:いよいよ今シーズン開幕です。ファンのみなさんにメッセージをお願いします。

吉田「やっぱり、競馬場に見に来て欲しいですね。僕たちは、精一杯面白いレースを作れるよう努力します。金沢みんなで一丸となって、今年も頑張ります。ぜひ、生でレースを見て下さい!!」

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※インタビュー / 赤見千尋

 

   

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