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黒澤 愛斗 騎手(北海道)

2013年04月10日

昨年は初重賞制覇、今年1月には通算100勝を達成した6年目の黒澤愛斗(まなと)騎手。身長135センチと日本で一番身長が低い騎手は、ここ最近急激に勝ち鞍を伸ばしており今年も注目です。

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斎藤:昨年は2歳牝馬の重賞リリーカップをハニーパイで勝ち、初重賞制覇を達成しましたね。

黒澤:宮崎騎手が怪我して、乗り換わりの騎乗でした。ゴール前は外から2頭追い込んできていましたが、我慢して勝つことができました。嬉しかったです。こんな形(乗替り)で重賞を勝てるとは...。次の目標は200勝ですね。

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斎藤:100勝は名古屋でしたね。門別で待っていたのに(笑)。

黒澤:門別で...とは思っていたんですが。名古屋では、同期の2人(友森翔太郎騎手、阪野学騎手)がプラカードを持ってくれました。

斎藤:騎手になったきっかけを教えてください。

黒澤:出身は茨城県です。家は全く競馬とは縁がないのですが、高校時代の先生に騎手になることを勧められてから、競馬を見るようになりました。中高と野球部で、体を動かすのが好きだったんです。監督が競馬が大好きだったのと、友達にも勧められて。高校を卒業してから1年間、千葉の乗馬クラブで乗馬を学んでから騎手試験を受けました。乗馬クラブでは、JRAの小野寺祐太騎手も一緒だったんです。親は好きにやらせてくれました。すぐやめるんじゃないかと思ったみたいです(笑)。
乗馬クラブではじめて馬を見て、「でかい!」って。乗ってみたら高くてびっくりしました。最初はやってけねーな、と思いましたが根が負けず嫌いなんです。それから教養センターでもみっちりとやりました。19歳で入ったので同期では自分が一番年上でしたが、敬語もなく、みんな仲が良かったですよ。

斎藤:2008年、デビューは札幌競馬場でした。初日から4鞍に騎乗していましたね。

黒澤:デビュー戦はレース前に急に緊張してきて、ゴーグルはしていましたが、板メガネを忘れたんです。レース中に「痛い!」と思って、馬降りてから「してねーじゃん」って(笑)
初勝利は1カ月後の旭川でした。同期がみんな勝っていたので、プレッシャーがありました。レースは小国さんと競り合って、ハナ差だったので勝ったか負けたかわからなかったんです。戻ってきてから、(恵多谷)先生に勝ったと教えてもらいました。うれしかったですね。

斎藤:同期はレベルが高いですものね。次の年明けには、高知の全日本新人王争覇戦で優勝しました。

黒澤:1月のこの時期は攻め馬もしていないし、普段は鐙も長くして乗っていたんです。レースはゲートで遅れたんですが、ペースが速くて前が止まっていたのがわかったんです。ゴール前びゅん、と差して「あっ、勝った」って。高知では1鞍しか乗っていないのに、次の日筋肉痛になりました(笑)。
同期では、川島(正太郎・船橋)とセンターの部屋が一緒でした。仲がいいのは名古屋の2人、友森と阪野です。大柿(一真・兵庫)は、(重賞勝ちの後、競馬場での)プロポーズの前に僕が乗っていたことのある馬について電話してきたのに、結婚の話はしなかったんですよ(笑)。

斎藤:今シーズンの冬は名古屋に2カ月間遠征しましたね。

黒澤:あちこちで乗りたいと思っているんです。いろいろな騎手がいるから、どういう競馬をするかを見たい。名古屋の2人からも、レベルが高いと聞いていたので、勉強になると思って行きました。位置取りが厳しく、黙っていたらいい位置を取られます。仕掛けどころも最初はわかりませんでした。小回りコースのいい勉強になりました。

斎藤:茨城出身ですが、北海道を選んだのは、冬の間の馴致をしたいからと聞いたと事があります。冬期間休みに入るホッカイドウ競馬では、その間今年デビューの2歳馬を育てていますが、忙しいし怪我も多く、大変だと聞きます。

黒澤:馬を一から(育てるところから)やりたかったんです。野生馬を馴致するようなものですから、2歳は大変です。2年目からだいぶ慣れてきました。今年は名古屋から戻ってきたら馴致は終わっていて、今は馬場での調教が始まっています。

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斎藤:さて、一昨年33勝、昨年29勝と、ここ最近勝ち鞍が急激に増えましたね。

黒澤:乗鞍が増えたからですね。恵多谷先生が「ほかの厩舎手伝いに行け」と行ってくれるんです。やさしい先生です。
骨折もないですね。運がいいのかも。
また、2年前に結婚したことで、「稼がないと」って(笑)。頑張らないといけない、という気持ちが強くなりました。

斎藤:では、今は休みの日は家族サービスでしょうか。趣味は何でしょうか。

黒澤:家族で出かけたりもしますが、ゲームが好きです。特に「モンスターハンター」で、(阿部)龍も好きで、一緒にやりますよ。

斎藤:体が小さいということで、有利になることはありますか?

黒澤:ないですね。腕も短いし、不利なことが多いですが、それを埋めるために、レースでは馬を気持ちよく走らせることを大事にしています。
センターでは木馬に乗ったり器具を使ったり、ひたすら筋トレをしました。体が小さいから、誰より筋力をつけたいと思っています。背筋は160キロくらいありますが、騎手は馬に乗っていると背筋がつくんですよ。大事なのはバランスよく筋肉をつけることです。これからはもっと下半身に筋肉をつけて体重を増やしたいです。
今の体重は38キロ。食べても太らないんです。鉛は、特注のゼッケンにつけているんです。鉛だけで17〜18キロになりますね。札幌は検量所から装鞍所までがとても遠かったので、手押し車に乗せて歩いていました。門別も、装鞍までは階段を登っていくから結構大変なんです。名古屋はすぐ後ろだったんですが。

斎藤:黒澤さんの筋肉はすごそうですね。パドックで軽々と飛び乗りしているのもすごい。

黒澤:センターでは1人で飛び乗りができないといけないんで。でも、意外と最初からすぐできたんです。

斎藤:先行と追い込みではどちらが好きですか。

黒澤:はじめは逃げ、先行が好きでしたが、最近は差しが好きになりました。オンワードリーベという馬に乗ってからです。門別は広いし直線が長く、差しが決まるからおもしろい。
いつも、スタンドから見ると、ナイター競馬はとてもきれいなんじゃないかと思っているんです。一度客として見てみたいですね。乗っていてもスタンドはきれいに見えますよ。コースは、旭川は暗かったですが、門別はとても明るいんです。
JRAでは一昨年初めて乗りました。芝は、クッションがきいていて、じゅうたんの上を走っているような、不思議な感じでした。中央で活躍している人が隣にいて、新鮮でしたね。

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斎藤:目標の騎手を教えてください。

黒澤:五十嵐騎手ですね。リーディングを獲るだけではなく、ずっとそれを保つというのはすごいことです。
山口さんには、オレンジ帽の時から優しく教えてくれました。馬乗りもうまいし。

斎藤:黒澤さんを見ていつも思うのは、ハンディをハンディと思わないところが素晴らしいです。

黒澤:負けず嫌いなんですね。特に、ハンディがあるとは思っていないです。そこは、自分で補っていけたらと。小さい体で頑張っていますので、門別に来てください。

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※インタビュー / 斎藤友香

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