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川原 正一 騎手(兵庫)

2013年10月30日

10月17日に園田競馬場で行われたスーパージョッキーズトライアル第2ステージ。川原正一騎手は、そこで5着2回と着順をまとめ、第1ステージでの首位を最後まで守り、11月30日、12月1日にJRA阪神競馬場で行われるワールドスーパージョッキーズシリーズ(WSJS)への出場権を手にしました。今年の川原騎手は、地方競馬全国リーディングを独走中(10月29日現在)。54歳にして、なお進化を続けています。


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浅野:スーパージョッキーズトライアルの優勝、おめでとうございます。

川原:ありがとうございます。全部、それなりの成績がある馬に乗せてもらえていましたし、ポイントを取りにいくレースをしました。船橋での第1戦は吉原くん(1番人気馬に騎乗して3着)が勝ちにいって、ぼくはポイントを取りにいった、その差が着順(川原騎手は2着)に出たのかなと思います。
普段のレースでもそうなんですけれど、自分自身が勝とうと思ってしまうと、馬に余計な負担がかかってしまうんですよね。だからいつも馬のリズムが優先。レース中のポジションとかは気にしないことにしています。それがぼくの基本ですね。

浅野:でも、2位の桑村真明騎手(北海道)とは1ポイント差。ギリギリの優勝でした。

川原:得点状況は気になりましたよね。トップで折り返したし、第2ステージは地元だし。最後は運がよかったんだと思います。個人的な心がけとして、自分は運がいいんだと思い込んでいるんです。周りにもそういうことを言っています。

浅野:しかしながら、1997年以来、16年ぶりのWSJS出場ですね。97年は3、3、1、1着という成績で優勝しました。

川原:あのときはNARから指名されて出場したんですよね。確か、笠松でのリーディング2年目で、勝率がよかったから選ばれたのかな。当時はJRAでのキャリアが今ほどなかったから、うまく乗れるか心配でした。でも行ってみたら、意外にちゃんと乗れましたね。最後のレース(第4戦・ゴールデンホイップトロフィー)ではステイゴールドを負かしましたし。いやしかし、世界の騎手と渡り合って優勝ですよ。今でも信じられないですね。表彰式のときもうれしかったですけれど、終わってから日に日に「すごいことをしたんだな」と感じてきたのを覚えています。本当に、競馬の神様がぼくに降りてきていたんだろうなあ。

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浅野:そして今年は全国リーディングでもあります(10月29日現在)。好調の要因はどのあたりなのでしょうか。

川原:笠松の頃はトップを守ろうなんて思っていたんですけれど、今はあまり気にしません。与えられたひとつひとつを大事にやっているだけですよ。大きいのは、柏原誠路厩舎(10月29日現在、兵庫リーディングトレーナー)の主戦騎手にしてもらっていることかな。今日(10月24日)勝った馬も柏原厩舎。先生とはよくコミュニケーションを取っていて、この馬は先生に相談して、1700mの予定から1400mに変えてもらったんです。柏原先生は勝ちにこだわる人ですし、ぜひリーディングを取ってもらいたいですね。

浅野:笠松でトップジョッキーだった30代のときと50代である現在で、変わったところがあるとすればどのあたりでしょうか。

川原:技術的な部分や考え方、それから馬に対する考え方は、あの頃より上でしょうね。今はとにかくいいレースができればという、それしか頭にないですよ。勝っても負けても反省。馬のいいところを伸ばして、弱点が表に出ないようなレースをしてあげたいなと思っています。競馬は馬が主役。馬がいちばんしんどい思いをしているわけで、騎手なんてちっとも偉くないんです。30代の頃はそんなことあまり考えていませんでした。ただ、いくら自然体で乗ろうと思っていても、予想紙で本命印が並んでいると気持ちが前に行っちゃうんですよね(笑)。だからこそ、常に馬のリズムに合わせようと念じています。

浅野:今日も後半戦の全レースに騎乗していました。キャリアで補えるところはあると思いますが、でも若い頃とは違う部分はどうしても出てきてしまうような気がするのですが。

川原:やっぱり疲れ方は30代のころとは違いますね。今日も7鞍、明日は8鞍でも肉体的にはそんなに問題ないんですが、思い描いたような競馬ができないと疲れます。精神的な疲れが肉体に響いてくる感じ(笑)。競馬にはいいときも悪いときもあるんですけれど、いい競馬ができたときは疲れなんて全然感じません。

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浅野:また、40代になってから兵庫に移籍されました。その点でもいろいろとご自身に変わってきたところがあるかと思います。

川原:兵庫に来た当初はどうしようか迷いましたよ。流れが笠松と違うから。最初のうちはこっちの流れに合わせようかと考えたんですけれど、やっぱり自分のやり方で貫こうと決めました。
それから競馬に対する考え方ですね。競走馬は馬主さんから厩舎スタッフがバトンを受けて、そしてぼくが最後にバトンを受ける。だからぼくは、みんなの信頼に応えられるようにしなければならないんです。だから私生活から正すようにと考えているんですよ。神様はいつも見ていますからね。そういう思いは兵庫に来てから強くなりました。

浅野:そして今年は結果も含めて充実していて、さらにスーパージョッキーズトライアルを優勝しました。WSJSへの抱負をお願いします。

川原:競馬は馬が主役だとは思いますが、WSJSはお祭りなので、そこに参加できるのはうれしいですね。前回のときに騎手人生の運を全部使ったと思っていたのに、また出場させてもらえるわけですし。だから今回は、37年間積み上げてきた思いや考え方、技術を出して、その上で楽しく競馬ができればと思っています。それで世の中の50代のみなさんにパワーをあげられればうれしいですね。自分は50代という自覚なんて、まるでないんですけれど(笑)。

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※インタビュー / 浅野靖典

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