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陶 文峰 騎手(岩手)

2014年05月21日

今年がデビュー15年目になる陶文峰(とう ぶんほう)騎手。昨シーズンはドリームクラフトとのコンビで重賞4勝を挙げ、同馬を2013年度の岩手競馬年度代表馬に導きました。また、2004年にトキオパーフェクトで2勝を挙げて以来、久しく遠ざかっていた重賞制覇でもあり、昨シーズンは陶騎手にとって記念すべき1年となりました。

 

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まずはですね、"ドリームクラフトって陶騎手から見てどんな馬?"という質問からいきましょうか。

レースがよく分かっている馬ですね。どこから動き出してどこで脚を使うか自分で知っていて毎回3〜4コーナーで伸びてくれる。乗っている僕が邪魔しなければ力を出してくれる馬ですよ。

勝った重賞は全部水沢で、"盛岡は苦手なのか?"とも言われていますが?

いや、盛岡も決して苦手ではないと思うんですよ。クラスターカップ(7着)の時も上がり34秒6とかで走っていて上位の馬がもっと走ったというだけだし、シアンモア記念で2着になった時も走りや手応えは凄く良かったんで、あれで盛岡は走らないという感じはしないんです。勝った馬が強かったとか上手く走ったとかそんな感じで、ドリームクラフト自身はそんなに悪い走りだったわけじゃないと思います。

確かにシアンモア記念の2着はレース内容が良かったし、それに水沢でだって負けた事があるわけだしね。

盛岡で勝ててないのは距離もあるかな。マイルはちょっと長い。長いというか脚の使い所が難しいですね。短すぎる距離だと忙しくて合わない。1400mがやっぱり一番良くて、この距離なら馬が自分で動いてくれるし捲っていく時の手応えも凄いからね。

盛岡が芝もダートもイマイチだったのは、盛岡のコース形態だとこの馬が動きたいところに必ず坂があるからかな?とか想像しているけど?

そういうのはあるかもしれませんね。3コーナーからずっと下ってきてすぐ登りですからね。あと、58kgとかの重い斤量をちょっと気にするのかもしれない。

 

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ドリームクラフトでトウケイニセイ記念を制してガッツポーズ

 

ドリームクラフトの転入初戦、去年の3月の開催で勝った時から「これはかなり走る」って言ってましたよね。

最初はダートの1800mでね。調教師からも「芝の方が良いんじゃないか」って言われてて自分もそのつもりで挑んだけど、3コーナーあたりからガツンとハミを取って、あれっ?と思った時にはもう周りの馬が止まって見えるくらいの脚。これはダートでも走るなと。その頃は芝馬っぽい素軽い走りって言うんですか、そんな走りだったけど徐々に変わってきて。馬体重も440kg台でしたがその後は450kg台後半になって。パワーが増してきたんじゃないかな。

陶騎手はトーホウエンペラーとかデンゲキヒーローとかも知っているわけだけど、そういう馬たちと比べた時はどう?(注:トーホウエンペラーは千葉四美厩舎に所属していた時に調教を付けていたことがある。デンゲキヒーローはキャリア終盤にコンビを組み、04年の名古屋グランプリGIIで3着がある)

トーホウエンペラーやデンゲキヒーローはパワー型でしたよね。重賞を勝ったトキオパーフェクトはスピード型。そんな馬たちに比べるとドリームクラフトはちょっと違いますね。短い距離で勝っているけどスピードで押す馬ではなくて、そういう距離でキレる脚があるタイプ。コウギョウデジタルと似ているところがあるなと感じるんですよ。レース中に気を抜く時は抜きすぎるくらいなのに何かのきっかけでスイッチが入ってグッとハミを取ったり。同じアグネスデジタルの産駒だからかな?と思ったりしますね。

 

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デンゲキヒーローで挑んだ2004年12月の名古屋グランプリは3着

 

陶騎手は中国の生まれ(中国黒竜江省生まれの中国籍。数少ない日本で免許を取得した外国人騎手)で、日本に来たのはいつでしたか?

12歳の時ですね。日本に来た時にはもう中学生の年齢だったけど、日本語がよく分からないという事で最初は妹と二人で小学校に入ったんです。妹が小五の年齢だったので二人で小学校5年生ね。で、妹と一緒に小学校を卒業して、妹は普通に中一だけど自分はすぐに中二に飛び級みたいな感じで上がったんです。

水沢農業高校で馬術部に入ったわけですが、それは馬が好きだったから?

いや、最初はサッカー部に入ろうと思っていました。友達に誘われて馬術部を見に行って、それで入ったんです。中国時代は家に農耕馬がいたけど、大きくて怖かったからあまり近寄ったことがなかったですからね。

水農馬術部から競馬の世界...って、岩手競馬では出身者が多い路線だよね。

馬術部の頃にアルバイトってことで水沢競馬場でポニーを引く係をやったことがあって、競馬を見て凄いなと思って。そんな時に千葉四美調教師(当時)に誘われたんです。日本に来ていろいろな仕事に興味があったけど馬の仕事もいいな...と思って騎手を目指すことに。でも長期過程を二度落ちたんです。当時は体重も増え始めていたからどうしようかと思ったけど、短期過程があるからということで受けて合格しました。

陶騎手もベテランの年になったから水農出身の後輩も増えてきたと思うけど、先輩風吹かしたりしてないの?

いや、ないですよ(笑)。俊吏(菅原俊吏騎手)が一つ下、皆川(麻由美元騎手)が二つ下になるけど、もっと上の先輩もたくさんいますからね。伊藤和調教師や瀬戸幸一調教師、吉田司調教師、高橋純調教師。自分はとても威張ったりできない。

 

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重賞初制覇をもたらしたトキオパーフェクト(2004年OROカップ)

 

えー、ではドリームクラフトに戻って。今年はどんな成績を残したいですか?

年度代表馬を2年連続で取る、というのはめったにないことだろうし、それができるのは年度代表馬を取った次の年なので、今年も狙っていきたいです。勝つべきレースをきっちり勝てるようにしたいですね。あとは盛岡で勝ちたいですね。さっきも言ったように盛岡がダメだとは思ってないので、盛岡でも強いドリームクラフトを証明したいです。

自分自身は?

この年になると毎年"今年はどこまでやれるかな?自分はあとどれだけやれるのかな?"って感覚になってくるんです。でも、これまでも自分が苦しい時に良い馬に出会って助けられてきた。トキオパーフェクトとかデンゲキヒーローとかね。今はドリームクラフトがそうなんだと思う。良い馬で必ずしも良い結果を出せなかったとも思うから、ドリームクラフトではきちんと結果を出して、期待に応えたいですね。

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※インタビュー・写真 / 横川典視 

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