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齋藤 雄一 騎手(岩手)

2015年05月08日

昨シーズン(2014年度)は岩手の騎手リーディング3位だった齋藤雄一騎手。所属する小西重征厩舎も調教師リーディング4位と毎年揃って上位を争っているのだが、小西厩舎の活躍の原動力は間違いなく齋藤騎手だといえるほど師弟の間の繋がりは深い。今回は自身のみならず厩舎の話もからめながら"齋藤雄一騎手の今"をうかがった。

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2002年にデビューして14年目のシーズン。今の自分の"位置づけ"ってどのあたりだと思う?

正直言ってちょっと中途半端ですかね。上に突き抜けるでなく下に落ちすぎるでもなく。宙ぶらりんって言うのかなあ。

でも、勝ち星は安定して獲得しているし、周りの厩舎からの評価も、高いレベルで安定しているでしょう? その気になればもっといろいろできる位置だと思うけど。

うーん。そうですねえ...。"リーディング獲ってやる!"と力んでいた時期もあったけど、厩舎のスタイルとか自分のスタイルとかを崩してまで...とも思うんですよね。もちろん、頂点にはね、そこに行った人にしか見えないものがあると思います。それを見てみたいとも思うんですが。

齋藤騎手は、こう言うとあれかもしれないけど、場合によっては勝負度外視でも義理の方を優先するような所があるものね。もっと欲を出してもいいのに。

そういうのは騎手としては失格なのかもしれないけれど、でも騎手の前に人としてスジを通さないといけないとも思います。そういう騎手がひとりくらいいてもいいんじゃないですか。

今にして思えば、ですが、齋藤騎手より上の世代の騎手が急にいなくなってしまった。それが不運だったかもしれない。上の世代のベテランがもっとたくさんいれば、30歳くらいの騎手はもっとわがまま言える、好きなように乗れる立場だったんじゃないかと。

わがままに乗れるかどうかは分からないけど、そういう面はあるかもしれないですね。勲さん(菅原勲現調教師)なんかも自分が脂が乗ってきたと感じた頃に引退してしまった。正直言えばもっと一緒に乗って、もっと吸収したかったですよね。

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4月4日には重賞・あやめ賞を制し早々と今季初重賞タイトルを手に

今の岩手の調教師の中では櫻田浩三調教師が通算勝利数で現役1位、小西重征調教師が現役2位(※4月27日終了時点では櫻田浩三調教師1792勝、小西重征調教師1577勝・歴代5位)です。齋藤騎手・小西調教師がその気になればより迫る、あるいは追いつく...という事も有り得ない話ではないと思うけども?

小西先生は、でも、リーディングにこだわるとか無理に勝利数を追い求めるとかそういう人ではないですからね。

シーズンの成績だと、調教師も毎年上位にいるけど、無理に狙っているわけではない?

馬が好きですからね。小西先生は馬が好きでやっているから、無理使いはしないし勝ち星の数も全く気にしてないですよ。それは自分も同じ気持ち。

じゃあ、何勝した、順位がどうなった、よりは、良いレースができた・馬の力を出し切った...みたいな方にこだわる?

どちらかと言えばそういう所に楽しみを感じている部分が大きいかもしれないですね。みんなで手をかけた馬で勝った"1勝"が凄く大事だと思います。

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昨年は門別・栄冠賞の騎乗依頼を得た

齋藤騎手は前からそういう風に言うよね。自分が勝った負けたじゃなくてみんなで力を合わせて仕上げた馬を走らせたいって。期間限定騎乗とかしないのもそれだからでしょう?

周りからは"厩舎の仕事が大変だから行けないのか?"とか言われるんですが、小西先生はむしろ"どこか行ってこい"っていつも言ってくれている方で。自分がこうしたいんですよ。他の競馬場で乗ってみたいという気持ちがないわけではないけれど、自分は、今の調教師や厩舎のスタッフと一緒に仕事をして、一緒に育てた馬でレースをしたいから...。

岩手でやっていく方が楽しい、と。

...かな。あとは、"休める時は休んで、身体をいたわるのも騎手の仕事だ"って小西先生に言われているのもあります。若さに任せて無理をしたら後々堪えるぞ、身体を休めて英気を養うのも大事だって。競馬の事を考えずに過ごす時間も必要だと思うんですよね。今年の冬なんかは特に、毎日子供と遊んで過ごして競馬の事をほとんど考えなかった。

そうする効果は?

そうやってしばらく競馬の事を頭の中から抜く事で、春に競馬が始まった時のモチベーションをより高める事ができる。そんな風に思います。ずっと競馬の事ばかり考えているとどこか惰性っていうかおざなりになるような気がする。だから、シーズン中もできるだけ子供と遊ぶだけの時間を作ったりして、気持ちや身体をリセットするようにしています。

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2013シーズンまで使用していた旧勝負服

齋藤雄一騎手は昨シーズンから勝負服を変えましたよね。所属する小西重征調教師の、現役時代と同じものに。"どうして変えようと思ったのか?"という所から始めましょう。『胴桃・袖緑』の服色、実物は見た事がある?

現物はないですね。小西先生が現役時代にそんな柄の勝負服を着ていた...という事は知っていました。

やっぱりこう、"師匠の勝負服を受け継ぎたい"と願って? それとも調教師から着てみろと言われたとか?

小西先生から言われたって事はではないです。そういう事は特に言わない先生だから。ただ、自分が500勝した頃からかな、この先1000勝を、上を目指していく時に、小西先生の勝負服を着て頑張りたいと思って。自分からお願いしました。

齋藤騎手が勝負服を変えた時、小西調教師に感想をうかがったら、"俺の勝負服を着てヘタなレースをしたら怒ってやるからな!"って笑ってました。

リーディングを獲った騎手の服ですからね。その価値を落とすようなレースはできないですよね。でも今の成績だとちょっと恥ずかしいかな。もっと良い成績を残さないといけないですね。まずは1000勝。その先は...。そこまで行ったら考えます。

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※インタビュー・写真 / 横川典視

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