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新子 雅司 調教師(兵庫)

2018年02月06日

2012年に厩舎を開業した新子雅司厩舎は、4年目の2015年に早くも兵庫調教師リーディングのトップに立ちました。昨年も104勝を挙げ、3年連続でのリーディングとなっています。

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ここまでの道のりは開業前に思い描いたとおりだったのでしょうか。

2012年6月のスタート時は8頭分の馬房でしたから、年末までに20勝くらいできればと考えていました。それが実現できれば、馬房が16に増えたとき、年間で80勝できるという計算になります。実際は18勝でしたが、勝てる馬を年明けの開催に回した分がありましたからね。最初の半年でこれだけ勝てたのなら、次の年はリーディング上位に行けるだろうという手応えにつながりました。

厩舎開業時に苦労することとして、馬と厩舎スタッフを集めることの難しさがよく聞かれます。

調教師を目指していたときに、開業したら一緒にやりましょうと言ってくれる人もいましたし、その点に関しての不安はありませんでしたね。それで2年目はリーディング4位になりましたが、これはだいたい予測したとおりというか、そんな感じでした。

新子調教師は元ジョッキー。その後は厩務員、調教師補佐と経てきたわけですが、調教師になった今も所属馬には自らが乗るという方針を実践しています。

なんというか、僕はそれほど弁が立つタイプではありませんので、それなら実際に乗って、その感触を馬主さんに伝えていくほうが間違いないだろうということですね。そして自分が乗ることでのメリットはというと、スタッフとの結束力が強くなるということでしょうか。意見交換をするにしても、実際に乗っていないのでは、僕とスタッフとの間に温度差が出てくると思うんです。乗っているからこそわかることもありますから。

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兵庫クイーンカップをタガノトリオンフで勝利(2017年11月9日、写真:兵庫県競馬組合)

新子調教師はまだ40歳ではありますが、そのためには体の維持が大切になりますね。

僕自身、馬に乗るのも好きですし、さわることも好き。そこが大きいですね。食事は1日1回にしていますが、それで問題なく過ごせています。食べ物が体に残っているときに乗りたくはないですし、内臓を無駄に動かさないという意味もあります。すべては健康で馬に乗りたいという、その思いだけです。いつまで乗れるのかとは思いますが、川原さんは元気に乗っていますし、大井には的場文男さんだっているわけですから。

新子調教師はもともと馬に携われる家庭環境だったのでしょうか?

いえ、奈良県の橿原市出身ですから、まったく関係ないですね。家庭の事情もありまして、中学を出たら働こうと考えていました。そうしたら中学3年ときに先生が「こういう職業があるぞ」と騎手を勧めてくれたんです。騎手なら早くから仕事ができますし、当時の教養センターは無料での寮生活でしたから、それで興味を持って受験したら合格できました。中学では野球をしていましたが、馬はゼロからのスタート。ですから入所後はついていくために必死でした。

そして騎手として126勝。そこからの転身となりましたが、すぐに切り替えはできたのでしょうか?

体重が増えてきた時点で、次の目標へと切り替えられました。それから厩務員、調教師補佐としておよそ10年、その経験は生きていると思います。僕が常に心がけているのは、馬の状態がいいときにレースに挑もうということです。

それが結果として、高い勝率につながっているわけですね。

常に100の状態で送り出すのではなく、レースによっては80くらいの力で、場合によっては60くらいの力でも勝てるようにしてあげたいですね。目指すところに合わせてその都度、馬のスイッチの入れ具合を考えています。

それぞれの所属馬にきめ細かく対応できるところも強みになりますね。それにしても厩舎初出走から1年弱での兵庫ダービー制覇は快挙だと思います。

ユメノアトサキが北海道から来たときの第一印象は「きゃしゃな牝馬」でした。繊細な性格も持っていましたが、乗ってみたらキャンターに移ったときの1歩目の感触が良かったんですよ。とはいえ、あれほどの活躍ができたのは、馬の気持ちにやさしく接してくれたスタッフの頑張りが大きかったのだと思います。

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ユメノアトサキで兵庫ダービー制覇(2013年6月6日、写真:兵庫県競馬組合)

その翌年にはタガノジンガロでかきつばた記念を制しました。

ジンガロは育成牧場と連絡を取り合って、JRAと同じようにレース10日前に入厩して出走という形を取っていました。左に張るという課題がある馬でしたが、乗った感触としては「僕の重心のかけかた次第でなんとかなるかな」でした。

そしてその翌年、2015年には年間100勝を達成しました。

あの年は数字を意識しましたね。11月くらいに岩田さん(康誠騎手)に「年間100勝を目指せ」と言われたんです。数字を見てくださっていたんですね。でもそれを言われたときは正直、ちょっと厳しいんじゃないかと思いました。でもそれから馬とスタッフが頑張ってくれまして、そのおかげで大晦日の勝利で間に合いました。

そしてそれ以降も勝ち星は3桁を続けています。

個人的には常にキャリアハイを目指したいと考えています。2018年の目標としては、兵庫の調教師レコードの118勝を超えることですね。またダートグレードで勝負できる馬をつくっていきたいですし、兵庫ゴールドトロフィーは取らないといけないレースだとも思っています。今まで兵庫どころか地方所属馬が1回も勝っていないわけですから。昨年はエイシンヴァラーで5着でしたが、勝ち馬とは0.5秒差。今年もまた挑戦したいと思っています。

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※インタビュー / 浅野靖典

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