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佐藤 友則 騎手(笠松)

2018年08月09日

2016年から2年連続で笠松リーディングを獲得し、笠松の顔となった佐藤友則騎手。各地の重賞にスポット参戦し、8月からは初の南関東での期間限定騎乗に挑戦。JRAでもコンスタントに騎乗して結果を出しています。上を目指してフル回転を続ける原動力とは?

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2016年に初の笠松リーディングを獲得し、そこからは不動の1位。もともと技術には定評がありましたが、どうやってこの上昇気流に乗ったんですか?

いやいや、本当に周りに恵まれただけなので。感謝しかないです。実はジョッキーになってからずっと、1年が終わる時に「やり切った」と思えたことがなくて。くすぶっていたんですよね。「このままじゃダメだ」と思いながらも、言葉にも出せなかったし行動にも移せずにいたんです。でも2014年の終わりに、名古屋の角田(輝也)先生が「お前、このままでいいのか?来年リーディング獲れよ」って言ってくれて。「いや〜、厳しいですよ」って言いながらも、自分なりに意識改革して、言葉にも行動にも出すようにして。その年(2015年)は3位で結局リーディングは獲れなかったんですけど、初めてリーディングを目指せる位置まで行くことが出来て「今年、頑張ったな」って思えたんです。それと、僕にとっての偏西風が吹いたんですよね。何だかわかりますか?

偏西風??

尾島徹の騎手引退と、調教師になってからのバックアップです。徹が引退した時、「ともくんを10年連続リーディングにする」って言われたんですよ。後輩にそんなことを言わせた自分が情けないなと思いつつ、「絶対にやらなきゃ」って思いました。

尾島調教師はどんな存在ですか?

後輩なので、抜かれた時は悔しかったし、正直嫉妬もあったんです。でも、こいつスゲーなって思ってて。例えば、岡部(誠)さんと3人でご飯に行った時、当たり前のように岡部さんが奢ってくれようとしたんです。僕はその時、「すみません。ご馳走様です」って言ったんですけど、徹は「いや岡部さん、ダメです。僕出します」って言いだして。「いやいやいや」みたいなやり取りになって、徹がそこで「岡部さん!僕、岡部さんに奢ってもらってたら、いつまで経っても岡部さんを抜けないので」って言ったんですよ。その時、上に行く奴ってこういう奴なんだなって思って、後輩ながらグッときました。徹は体が大きくて減量に苦労して騎手を引退したから、本当は未練もあっただろうし、そんな奴に言われたんでね、これはもうやるしかないと思いました。

ご自身でも仰っていましたが、長年くすぶっていた中で一念発起しても、狭い世界ですからなかなか上手くいかないことが多いと思うんです。殻を破ることが出来た秘訣は何ですか?

僕は本気で騎手を辞めようとしたことが2回あるんですよ。どん底も味わっているし、正直怖いものはないんです。辞めようとした2回とも、周りに引っ張り上げてもらっているし、自分が恵まれているということにやっと気づきました。今までは、頑張ってやってダメだった時に、「やっぱりダメだ」みたいに思ってしまったんですけど、何でもっと周りを信じてもっと頼らなかったんだろうって思うんです。本当によくしていただいているので、もっともっと上手くなって恩返ししたいです。

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2年連続笠松リーディングを獲りました。次の目標は何ですか?

今は期待してもらって、すごくいい馬にもたくさん乗せていただいているので、とにかく自分のレベルを上げたいです。それで今年は外に出ようかなって。8月から初めて南関東期間限定騎乗に行くし(8月27日〜10月26日・大井所属)、笠松開催があっても他地区の重賞に声が掛かればスポット参戦したり、積極的に外で乗ることを意識しています。

JRAでもよく騎乗していますよね。

有難いことに、たくさんチャンスをもらっています。でも活かし切れていないんですよ。南関東やJRAは多頭数の競馬じゃないですか。それにコースもいろいろあって、そういうところでの駆け引きが僕には足りないんです。(吉原)寛人や(赤岡)修次さんを見ているとすごいなと思いますね。僕ももっともっと経験を積んで、あの2人のように地方を代表する騎手になりたいです。笠松の、ではなくて、地方の佐藤友則と言われるような存在になりたいです。

外で騎乗するのは、地元開催があるとなかなか難しいこともあるのでは?

そうなんですけど、寛人も修次さんも言うんです。「地元のリーディングにこだわっていたら上にいけない」って。もちろん獲れたら嬉しいですけど、それに捉われたらこれ以上上には行けないですから。今のままではまだまだ足りないし、周りに頼りっぱなしなんです。技術面もそうですけど、精神的にも「俺に任せろ!」ってドンと構えていられるような自信がまだなくて。外に出てたくさん経験して、もっと成長したいです。

リーディングを獲って満足!という感じではないですね。

全然満足してないです。もちろん獲れたことは嬉しかったですけど、獲ったら獲ったで次もって思うし、もっともっとってなる。それに、ジョッキーレースに呼ばれるようになったんですけど、周りを見ると負けているんですよね。結果も出ていないし。そこでも負けない技術を吸収したいです。

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2018地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップは総合8位だった(後列右端)

そのモチベーションはどこから来るんですか?

自分のこともそうですけど、笠松にもっと人を呼びたいという気持ちも強くなったんです。笠松は騎手も少ないし、今は全国で勝ち負けするような強い馬もいない。リーディングになったからこそ、僕がもっとアピールしたいなと思うようになりました。今は夜中の1時半に起きて調教に乗る毎日で、辛いなと思う時もあるけど、「忙しいって幸せだな」って。努力を怠って調子に乗ったら終わってしまうので、今攻めないといけないなと思っています。

リーディングを獲った今だからこそですか。

そうです。どうしてそう思ったかというと、プロレスラーの内藤哲也選手の影響なんです。新日本プロレスはしばらく低迷した時期があったんですけど、今、内藤選手が注目を集めてまた人気がすごくて。でもそんな内藤選手が言うんですよ。「今僕が攻め続けないと、また暗黒期と言われた時のように戻ってしまう。だから僕は攻め続ける」って。僕も競馬界の内藤というくらいの気持ちで、攻め続けていきたいです!

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では、オッズパーク会員の皆さんにメッセージをお願いします。

いつも応援ありがとうございます。ファンの方の声を直接聞いて、ファン目線の競馬場にしたいと思っています。僕は今、騎手会の副会長なんですけど、ファンサービスもいろいろ考えているので良かったら参加してください。今、勝率も上がっているので、笠松開催では僕が来ない日はないと思って馬券をたくさん買っていただけたら嬉しいです。皆さんの馬券に貢献できるように頑張ります!

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※インタビュー / 赤見千尋

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