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米倉 知 騎手(金沢)

2020年01月10日

2020年、44歳のベテランジョッキーが新たな歴史を刻む。これまで地方通算1500勝以上を挙げ、韓国でも90勝の金沢が誇る名手、米倉知(さとし)騎手がトルコのイスタンブールで、日本人としては初めてとなる滞在での騎乗を開始する。前例のない挑戦ゆえの苦難も予想されるが、「不安もあるが、楽しみも大きい」と話す米倉騎手に渡航前の現在の心境を聞いた。(インタビューは2019年12月)

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トルコの競馬はこれまで日本とはなじみは薄いですが、行こうと決めた経緯を。

去年(2018年)、釜山(韓国)から戻ってきた後も、どこか海外で乗れるチャンスがあればと思ってました。知り合いの記者に「どこか海外で乗れるところありませんか」と聞いたところ、日本人の女性と結婚しているトルコ競馬の調教師のハサン・バーダン先生を教えてもらいました。ハサン先生はすごく親日家で、トルコで乗りたいなら歓迎するし、サポートすると言ってもらいました。それから、トルコの競馬を調べると、賞金のレベルも悪くないので、行ってみようかなと思いました。

トルコでの拠点は?

イスタンブールのヴェリエフェンディ競馬場です。ハサン先生がここで厩舎を開業しています。競馬場は外が芝で内がオールウェザー。曜日によって昼間開催とナイター開催があるみたいです。他の競馬場に遠征することも聞いてますが、どんなふうに移動するのか、まだ想像できません。

トルコでは過去に岡部幸雄、武豊、福永祐一、川田将雅という日本人騎手が招待競走で乗ってますが、未勝利。勝ったのは北関東の伝説の騎手、福田三郎が90年に挙げた1勝のみです。

中央の有名な騎手でも勝っていないと聞くと、ぜひ勝ちたいですね(笑)。トルコで唯一勝っているのが地方の騎手なんですね。失礼ながら、福田三郎さんは存じ上げておりません。

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2019年6月11日、徽軫(ことじ)賞をサノラブで勝利

トルコは米倉騎手が初めてとなる滞在での騎乗。全てが初ものづくしで不安はありませんか?

もちろん、不安はあります。過去に行ったオーストラリアや韓国では先に行った方から、色々アドバイスをもらえましたが、今回は全てが一からですから。でも、過去に誰もしたことがないことをしているやり甲斐は実感できますし、自分で道を切り開く楽しみも大きいです。

トルコでの騎乗はいつまで?

当面は、金沢の開催が始まるまでの3月中旬を予定していますが、トルコでの成績が軌道に乗れば、期間を延長したいと思っています。延長は、ビザの関係で最長1年ですが。4月以降は、トルコでも日本のようにGIレース(トルコのローカルグレード)が多く行われるので、そこで騎乗できるように、結果を残したいです。

トルコでは有力馬に騎乗するチャンスはありそうですか?

行ってみないと分からないところもありますが、ハサン先生の尽力で、所有馬が今年(2019年)のGI(トルコローカル)を4勝しているアリフ・クルテル・オーナーから「乗せてもいい」と言ってもらっていると聞いてます。最初から有力馬に乗せてもらえるほど甘くはないですが、そのオーナーの馬でいいところを見せられたら、有力馬の騎乗のチャンスも出てくるので、楽しみにしてます。

トルコのレース映像は、見ましたか?

はい、見ました。長い距離のレースでも、序盤から馬を出してるなって思いました。それから9月にヨーロッパの馬や騎手が来るボスポラスカップ(国際GII、芝2400メートル)という国際レースがありますが、その2年前(2017年)のレースも見ました。この時の2着馬に乗ってるのが、今年(2019年)のジャパンカップをスワーヴリチャードで勝ったマーフィー騎手だと教えてもらいました。ヨーロッパの一流騎手と一緒に乗ってみたいですし、楽しみです。

これまで米倉騎手は韓国の釜山で90勝、オーストラリアで1勝、今年5月にはシンガポールギニー(16頭立て10着)にも1日限定免許で騎乗しています。いつごろから海外で乗りたいと思い始めましたか?

93年にデビューした時から海外には行きたい気持ちはありました。芝のレースは魅力ですし、賞金の高いレースに乗ってみたいのは騎手はみんな一緒ですよね。金沢では、なかなか中央で頻繁に乗るのは大変だし、やはり海外に目が向きました。オーストラリアに行くきっかけは吉原(寛人)君が先に騎乗したので、その話を聞いて、中央の森(秀行)先生にお願いして乗せてもらいました。韓国には、すでに日本人騎手が活躍してたので、自分も行きたいと思い、韓国馬事会のホームページの申請書を書いて手続きしました。シンガポールは騎乗馬の馬主が日本人でしたので、依頼を受けました。

海外では言葉が通じないことで不便を感じることはよくありましたか?

韓国では調教とレースの時、通訳が付いてくれましたが、ソウルに遠征した時はひとりでした。片言の英語と少し覚えた韓国語で何とか対応しました。騎手仲間とご飯を食べたり、アルコールを飲む時も、片言の英語と韓国語でした。もちろん、不便に感じることはありますが、逆に、聞きたくない話は聞こえてこないので、レースや馬のことに集中できる。その点はむしろ、海外の方がいいかもしれないですね(笑)。

トルコでは通訳は付きますか?

最初は、ハサン先生の奥さん(日本人)にお世話になりますが、韓国の時のように、ずっとは無理と言われてます。ただ、韓国やオーストラリアで1人の時にも、調教やレースで片言の英語と身振り手振りでどうにかなりましたので、今回もそれで乗り切るつもりです。

2019年も、もう終わりですが、12年ぶりに年間100勝超えで、勝率も金沢限定では3割を超えそうです。今年を振り返ってどうですか?

久しぶりの年間100勝と言っても、去年(2018年)は5月から乗り始めて79勝でしたから、それと比べると、ペースは落ちてるので、まだまだです。勝率3割も冬に高知で騎乗した時のものを入れたら、数字は落ちますし、勝率全国1位の佐賀の山口(勲)さんと比べたら全然ダメです。満足してません。

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2019年1〜3月には高知で期間限定騎乗

2020年に向けての抱負とオッズパークのファンに向けてメッセージをお願いします。

トルコでは、どこまでやれるかですね。自分に合う合わないは行ってからでないと分からないところもありますし、特に数字の目標とかはなく、やれるところまでやってみようと思います。金沢は冬は休みに入りますし、僕も日本を離れますが、オッズパークで昼間もナイターも地方競馬を楽しんだ後は、時差の関係で、ネットでトルコの競馬も見ることができます。日本からも声援よろしくお願いします。

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※インタビュー / 松浦渉

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