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永島 太郎 騎手(兵庫)

2012年10月17日

兵庫の騎手会長を務めていたこともある人望の厚いベテラン、永島太郎騎手。10月12日現在、兵庫リーディング4位。今年は順調に勝ち鞍を伸ばし、自身久々となるリーディングトップ5入りも可能性十分な位置につけています。

秋田:どうして騎手になろうと思ったのですか?

永島:父親が競馬好きで、京都競馬場に連れていってもらったんです。その時に、目の前で走っていく馬と騎手を見てかっこいいなと思ったことがきっかけです。中学校を卒業する前に背が小さかったので、騎手になろうと思いました。

秋田:まずはJRAの受験をしたのですか?

永島:はい。中学3年の時に受けて、2次試験で体重がオーバーしてしまったんです。43キロが規定ですが、実際に体重計に乗ったら43.7キロで......。その時点で試験官には、帰れと言われました。体重を計ることが分かっていたのに、前日バカ食いをしてしまって。騎手として、その日に体重を調整するには一番大切なことなので、それは仕方ないですね。

秋田:でも騎手は諦めずに、地方競馬の受験に気持ちを切り替えたんですね。

永島:JRAの受験では体重で失敗してしまったのが現実。その時は成長期なので、1年間我慢してJRAの試験をまた受けるまでに、自分が成長しないという自信はなかったですし。地方競馬の受験の時は、体重もしっかりクリアしました。

秋田:デビューは1991年4月29日、エルテンリュウに騎乗し、初騎乗初勝利。その時のレースは覚えていますか?

永島:鮮明に覚えています。同期の2人はこの日何鞍か乗っていたのですが、僕はこのレースだけでした。この馬自身も未勝利で人気もなかったので、気楽というか、ただ後ろをずーっとついていったら、いつの間にか先頭に立っていたんですよ。勝っちゃった、という感じでしたね。でも、しっかりガッツポーズはしていました(笑)。

秋田:それから22年。地方通算1630勝、重賞は16勝をあげています(10月12日現在)。これまでに思い出に残っている馬やレースを教えて下さい。

永島:レースに関しては、特にこれというのはありません。馬はノースタイガーというアラブの時代の馬です。今もたくさんいい馬に乗せてもらっていますが、あの馬の背中の感触を超える馬はまだいません。

秋田:1998年の兵庫大賞典を勝っていますね。どんな馬だったのですか?

永島:説明は難しいのですが、本当にいい背中でした。車でいうと高級車ですよね。アクセル吹かせばグッと進むような。4歳の時に10連勝しましたが、気性が激しくてね。一度、重賞でゲートを潜ってしまって競走除外なったことあるんです。ゲートが開いたら一目散に走っていくという、そんな逃げ馬でした。除外になった時は、誰よりも早くゲートを出たんですけどね(笑)。もちろん、兵庫大賞典も逃げ切りでした。

秋田:ノースタイガーを超える馬に出会えるといいですよね。

永島:そうですね! だから、今もいろんな馬に乗せてもらえるのが楽しみなんです。

秋田:これまでに、大きなケガはされましたか?

永島:23歳の時です。お正月開催の最初のレースで、準備運動中に他の馬がバカついて、その馬と自分の馬に挟まれてしまったんです。それで、足の指が5本とも折れてしまいました。年始早々のレースだったし、その馬も勝てるチャンスがあったので乗りたかったんですけど、足が痺れていたので馬から降りたら最後、もう立てなくて......。長靴を脱いだら、骨が折れているものだから、指がぽろぽろーんという感じで...

秋田:そ、それは、想像を絶します......。復帰までどれくらいかかりましたか?

永島:4カ月くらいです。

秋田:たったの4カ月間で!? でも、騎手の4カ月間は大きいですね。

永島:ちょうど、小牧さんと岩田君の次で、リーディング3位。良い感じに成績も上がっていた時でしたから。でも、その2年前に結婚して、ちょうど妻が妊娠して臨月の状態で......。妻には迷惑をかけてしまいましたが、生まれてくる子供のためにもがんばらなくちゃという気持ちでした。

秋田:さて、今年はリーディング4位という位置です。今のところご自身の評価はいかがですか?

永島:僕のように、ある程度の成績をおさめたり、ガタガタ下がっていったり、こんな騎手は珍しいタイプだと思います。また今年はたくさん勝たせて頂いているので、この良い流れに自分の技術がちゃんと繋がっていくように、まだまだがんばりたいです。

秋田:ところで、兵庫の騎手って、なんでこんなに層が厚いと思いますか?

永島:先輩の厳しさだったり、後輩の研究熱心さだったり、そういうことが受け継がれているのだと思います。調整ルームで一緒にレースのビデオを見ている時に先輩からアドバイスを受ける、それに真剣に耳を傾けて、次の日にでも実践しようとする後輩の姿がある。そんな日常が伝統になっているんですね。

秋田:兵庫競馬といえば、9月7日から「そのだ金曜ナイター」が始まりました。初日の感想を聞かせて下さい。

永島:ナイターの実施は、以前から関係者の一つの願いだったので、やっと辿りついたという気持ちでした。やはりお客さんの層も違いましたし、入場してくれた人も多かったですよね。久しぶりにあんなに盛り上がった中でレースができたので、僕たちもモチベージョンがあがりました。

秋田:実際にレースに騎乗してみていかがでしたか?

永島:僕自身は、ナイター競馬に乗ったことがありましたし、基本的に騎手は、ある程度の明るさがあれば乗れます。朝の調教だと、もう少し暗い状態で乗っていますし。

秋田:馬もいつもと違うリズムになるわけですが、影響は?

永島:それは馬によりけりですけど、厩務員さんもプロなので。ご飯を食べて、どれくらいでレースだっていうことは馬も分かっていますし。調教も、レースに合わせて行っていますから。ただ、ナイターの時だと明るい暗いがはっきりしているので、急にテンションが上がってしまって、本来の力が出せないという馬も、時にはいると思います。

秋田:ナイター開催の手ごたえは?

永島:もちろん手ごたえはあります。若い方や、家族連れが多くて、昼間の開催とはちょっと違うスタンドでした。ファンに楽しんで頂けると思ってみんながんばっていますので、もっと認知度が上がればお客さんは来てくれると思います。

秋田:では最後に、今後の目標を教えてください。

永島:騎手という仕事が好きなので、もっともっと上手くなってがんばりたい。人前に出る仕事ですから、有名になりたいですね!!

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※インタビュー / 秋田奈津子

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