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藤井 勘一郎 騎手(北海道)

2015年08月20日

オーストラリアを拠点に、韓国やシンガポールでも活躍する藤井勘一郎騎手(31)が、9月30日までホッカイドウ競馬で期間限定騎乗中です。

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日本での最初の騎乗が道営で、とても嬉しいです。ホッカイドウ競馬で騎乗することになった経緯を教えて下さい。

昨年、韓国でレース中に怪我をして、妻の実家がある札幌にいたんです。シンガポールの高岡秀行調教師(元ホッカイドウ競馬)がセリに来ていると札幌競馬場で聞いて、静内へ挨拶に行きました。その時にホッカイドウ競馬の調教師を紹介していただき、田中淳司先生と縁ができたのです。

各地の競馬場で騎乗されていると思いますが、門別はどこに似ていますか?

オーストラリア、シンガポール、マレーシア、韓国、約60箇所で乗りましたが、似ているところはないです! ほとんどが芝ですし、門別は砂厚が12センチと深く、パワーがいる。雨が降るのと乾燥しているのではコンディションが違い、日によってどこを通るかが大事になる。去年研修に来た時に聞いてはいましたが、乗ると全然違いますね。ベテランの位置取りを見ながら、レースを組み立てています。古馬はクラス分けも細かいから、駆け引き次第で変わってくる。騎手の能力が問われます。2歳は南関東や中央を目指しているからシビアですね。全体的に、7カ月のみの競馬だからか、意気込みを感じます。学ぶことが多い。同厩の岩橋騎手とは同年代だし、刺激しあえる仲です。心強い。
門別競馬場は、関係者、スタッフが一丸となって作り上げている。全体の魅力、思いが伝わってほしい。

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ナイター競馬はいかがでしょう。

シンガポールやオーストラリアでナイターの経験はあります。霧は人生初めてですよ、霧!! びっくりしました!! レースが中止になった時は、馬もよくなっていたのに......。映像は白くても、全く見えないわけではないんです。ただ、離して逃げる馬がいると距離感がわからないし、霧がゴーグルについて見にくくなるそうです。何より、パトロールタワーからレースが見えないと公正競馬が成立しないですからね。初めてといえば、今日午前3時頃坂路に行ったら、叫び声が聞こえたんです。子鹿が迷い込んでいたんですよ。

北海道はいかがですか。

道路が広く、自然が豊かなのはオーストラリアに似ています。オーストラリアでは3時間とか車を運転して競馬場に行くので、それを思い出しました。
牧場も新しい経験ですね。先日は育成牧場に行きました。坂路といってもいろいろあって、ウッドチップの質や敷き方、勾配、距離から違う。先日は育成牧場を経営している、元騎手の吉田稔さんと併せ馬をしたんです。元トップジョッキーと乗れたのもいい経験でしたね。うれしかったです。休みの日は札幌にいる家族に会いに行っています。3歳の息子、4月に生まれた娘がいます。癒やされますよ。

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初勝利(7月15日1レース、ハッピーヴィータ)については。

勝つ馬を用意してもらいましたから。ほっとしましたね。精神的に楽になりました。日本で勝ったら感動するかなぁと思いましたが、以外と冷静でしたね(笑)。すぐに次はどう乗ろうか、と考えていました。結果を出すということを考えると、冷静、客観的にならなきゃいけないところはありますからね。
今後は、重賞を勝ちたいですね。王冠賞に乗せていただきましたが、他地区の川原正一騎手(兵庫)が来たり、独特の雰囲気があって乗っていて楽しい。道営は元トップジョッキーの調教師が多いので、騎手に対する目が厳しいです(笑)。

勝負服はどのように決めたのですか。

騎手服のある韓国で騎乗する時に作りました。オーストラリアで5勝か6勝して、大きな競馬場で乗るきっかけをくれた、ベネッツグリーンという馬がいます。馬主さんにぜひ使いたい、とお願いして同じ勝負服を引き継ぎました。

JRAの騎手試験を受けるときに、1キロだけ体重がオーバーして受けられずオーストラリアに渡ったと聞きました。地方競馬は考えなかったのですか。

もちろん、地方競馬のことは知っていたのですが、中央でも体重制限があるなら地方も同じだな、と考えて、オーストラリアを目指しました。
小学生の時に、たまたまテレビをつけて見たのがフジキセキの弥生賞。それから父が2カ月に1回くらいは、京都などの競馬場に連れて行ってくれました。父はもともとギャンブルやらないんですけどね。蹄やムチの音、臨場感、美しい馬。全てが新鮮でした。競馬場を出ると、焼き鳥やイカ焼きとかが並んでいる(笑)。それも思い出です。

理解してくださったお父様も素敵ですね。さて、オーストラリアではジョー(Joe)と呼ばれていますね。勘一郎と全然違うじゃないですか(笑)。

そうなんですよね(笑)。15歳の時に行ったホストファミリーでニックネームを名付けられて、そこから定着したんです。僕のサインもJoeって入っていますよ。

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騎手になりたい若者が日本にもたくさんいると思います。

簡単ではないけれど、本当にやりたければ挑戦していくべきだと思う。僕もまだ、挑戦の過程です。オーストラリアにはほかにも日本人騎手はいますが、僕みたいに日本ら来ているのもいれば、現地で結婚して家を建てたり、それぞれのライフスタイルがありますね。
門別の後は決まっていませんが、10月にはJRAの試験があるのでそれに向けて勉強します。自分は初めて見たのがJRAだったから、日本で乗りたい気持ちがある。スノーフェアリーのダンロップ調教師なども言っていたけれど、日本の競馬は今世界で認められているし、日本で勝つのは難しい。外国の騎手にとっても、日本で乗るのはステイタスになっています。

好きなレース展開はありますか?

特にないです、馬に合った乗り方をしているだけ。生き物ですから、毎回レースで変わってくる。リプレイは欠かさず見ていますが、固定観念に縛られず、日々の変化をどれだけ感じ取れるか、です。宮崎光行騎手と話す機会があって、その時話題になったのは「人それぞれの個性がある。どれだけストロングポイントを出して騎乗するか」ということ。自分ですか? 難しいですが、いろんなところで乗ってきた、という柔軟性でしょうか。ここの競馬場だから簡単に勝てる、というところはひとつもないんです。
プロフェッショナルでいたい、ですね。それがあれば、海外でも言葉、生活の壁があっても、信念があれば乗り越えられる。いい仕事をしたいです。

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※インタビュー / 小久保友香 (写真:小久保友香、小久保巌義)

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