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齋藤 雄一 騎手(岩手)

2017年11月17日

騎手の大記録が続く今年の岩手競馬。7月の関本淳騎手(地方通算2000勝)、9月の高松亮騎手(同1000勝)に続いて、10月1日に齋藤雄一騎手が地方通算1000勝を達成した。

その齋藤雄一騎手は今シーズン開幕直後の4月、調教中に負傷して3カ月も戦列を離れていた。そんなアクシデントを乗り越えての大記録達成でもあった。

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1000勝達成おめでとうございました。さて、達成前も達成後も"1000勝は凄い記録だ"みたいな事を自らはあまり言わなかったんだけど、達成した今になってもそうですか?少し変わってきたりしていない?

特に変わっていないかな。1000勝を達成したからと言って自分が大きく変わったわけではないですし。そもそも自分が1000勝できるような騎手だとも思ってなかったですからね。達成する前も、達成した後も、今まで通り自分の仕事をするだけ、でしょうか。

そうなんだ。今までもね、厩舎の皆と一緒に仕事をして、それが良い結果につながればそれでいいんだ......と言っていたじゃない。1000勝を達成してもそれは変わりないんだ?

そうですね。ここまで来れたのは自分だけの力じゃないですからね。厩舎のためとか家族のためとかと力むのじゃなくて、みんなで力を合わせてやって来たのが良い結果につながれば"やって良かったな"って後から振り返れるし、そういうのが良いかなと。

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10月1日、地方通算1000勝達成。ご家族だけでなく小西重征調教師夫妻や関本淳騎手とともに

今シーズンは開幕早々に大きな怪我をして3カ月ほど戦線離脱。1000勝を達成してその勢いで昨年以上の結果を......と期待していたシーズンだっただけに残念でした。

この春の怪我はね、そんな先の楽しみがあって仕事も楽しくできていた時の怪我でしたからちょっとね、気持ち的にガックリきたところはありましたね。でもそれ以上に、自分が怪我をして厩舎の成績が落ちたのが申し訳ない気持ちでした。

一昨年も怪我をしたことがあって1カ月ほど乗れなくて成績を落としてもしまって。もったいない感じが、どうしてもしてしまう。

でも怪我をしないと気が付かないこともいっぱいあるから。

というと?

毎日の仕事で疲れてくるとモチベーションが下がったりもするのですが、怪我をして3、4日入院しているだけで"早く仕事に戻りたい"って思うようになる。やっぱり自分は馬が好きなんだなって再確認できる時間になったりするんですよね。だから怪我する事はポジティヴに考えています。ただ今年の怪我はね、調教師や厩舎の皆に申し訳ないという気持ちが強いですね。

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3カ月の戦線離脱後の復帰戦(7月8日・盛岡第2レース)を意地の勝利

改めて振り返ってみると、やはりここ何年かの、リーディング上位を常に争う成績を続けているのは立派だと思う。自身ももっと上を目指せる。自厩舎で調教師リーディングを獲るのも、昔から目標にしているけども、それもまだ諦めてほしくないと思うんだよね。

デビューしたての頃は乗せてもらえない時期が続いて投げやりになった事もありました。そんな中で結婚したり、廃止騒動があったり。自分より若い騎手がデビューしはじめたら今度は若手を引っ張る立場で、お手本になろう、周りから一目置かれるくらいの騎手にならないとと思って頑張ってきた。自分で言うのもなんだけどよくやって来たと思います。一方で勝ち星を稼ぐという事にこだわりすぎて周りに迷惑をかけていたんじゃないかなあと思う時期もあった。自分はそういう騎手じゃないなと今は思っているし、自分に力があるのなら厩舎の成績を上げる事に注ぎたいとも思うようになりました。

まだ老け込むには早いよ(笑)。では1000勝を達成した事を受けて、次の目標とすると?

今の時点では具体的な物は思い浮かびませんが、怪我をしないようにして、体のケアも気を付けて、1日でも長く乗れるように・・・でしょうか。最近は怪我が続いたし、ここまで身体を酷使してきたのは自分でも感じていますからね。先の事はもうちょっと時間をかけて考えてみます。

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若駒賞(10月15日・盛岡)をニッポンダエモンで制し、今シーズン重賞初勝利

最後にオッズパーク会員の皆さんにメッセージを。

自分だけでなく若い騎手達も頑張っていますので、ぜひ競馬場にも来て応援してください。

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「自分の若い頃は」「最近の若い騎手は」。インタビューの際、齋藤騎手は何度もそんな言葉を口に出す。今年まだ34歳なのに、とその度に「まだ若いでしょ。老け込むには早いよ」と口を挟むのだが、齋藤騎手に言わせると「若い騎手、新しくデビューする騎手ほど新しい技術とか自分たちの世代に無い考え方を持っている。だから若い騎手ほど伸びしろが大きいし、先々も長くやっていける可能性がある」。それゆえに自分たちは"年寄りの世代"なのだそうだ。

一方でそれは、齋藤騎手が20代の頃からリーダー格を目指し、やり抜いてきたという自負の現れとも感じる。佐藤雅彦騎手(現調教師)引退後、長く水沢所属騎手ばかり、水沢所属の調教師ばかりがリーディング上位を占めていた状況を、自身の騎手ランキング、所属する小西厩舎の調教師ランキング、共に上位に押し上げて打ち破ってきた彼だからこそ言える台詞なのかもしれない。

度重なる怪我の影響が徐々に蓄積されているんだから、とも口にする齋藤雄一騎手だが、何度も言うがまだ老け込むには早い。これからもベテラン騎手としての貫禄を見せ続けてほしい。

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※インタビュー・写真 / 横川典視

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