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古性 優作選手

2022年07月13日

先日の高松宮記念杯競輪で見事、地元での優勝を飾った古性優作選手(大阪100期)。昨年後半から破竹の勢いで勝ち続け、今年既にGI2勝。その勝負強さの理由に迫りました。

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橋本:改めて、高松宮記念杯競輪優勝おめでとうございます。地元での開催、注目度の高い中、ご自身で何か期待するものはありましたか?

古性:そうですね。いつも地元のレースではプレッシャーに押しつぶされているなと思っていたので、今回は本当に堂々とリラックスして、しっかりと力を出し切ろう、という感じでした。

橋本:リラックスして臨もうと思えた理由は何でしょう?

古性:経験ですかね。もう空気パンパンに入れても仕方ないな、という感じで、今回は力抜いていこうかな、と思っていました。

橋本:過去の失敗から、良い精神状態で迎えられたわけですね。そして、今節に関しては脇本選手(脇本雄太選手・福井94期)が不在の中、やはり近畿勢はちょっと厳しいんじゃないかという見立ても一部にはあったと思いますが、そのあたりはどうでしたか。

古性:GIの参加メンバーの近畿勢を見た時に、やはり自分も思いましたし、今回は苦しい戦いになるかなと思いましたね。脇本さんがいないだけでも、近畿という層がかなり薄くなると思いました。

橋本:確かに近畿ラインという総合力で考えると、一番そのラインの総合力を上げる選手ではありますもんね。ただ、その脇本選手の穴を埋めて余りある、野原選手(野原雅也選手・福井103期)や岡崎選手(岡崎智哉選手・大阪96期)の頑張りがありました。

古性:いや〜、本当にもう雅也(野原選手)と岡崎さんのおかげだなと思いますね。

橋本:走る前から今回はやってやるぞ、今日はやってやるぞ、というような気迫のようなものを野原選手や岡崎選手から感じましたか。

古性:びっしびし感じましたね!(笑)レースで3日間番手戦だったんですけど、3日間めちゃくちゃきつかったですね。前が頑張りすぎなぐらい頑張ってくれたんで、もう自分もしんどかったです。

橋本:正直な話、これ競輪のレースでいいかどうかってのはあるんですけど、特に野原選手は残ろうという気持ちがあまり感じられなかったというか。(笑)

古性:もう本当に番手が僕、ということで、その中で頑張ってくれたかなと思いますね。

橋本:初日のメンバーを見た時に、並びに関しても野原選手から「俺が前でやります!」みたいな感じだったんですか。

古性:「前でやりたいです!」って言ってきてくれたので、僕はもう東口(東口善朋選手・和歌山85期)さんと相談して、番手回らせてもらいます、というような話をしました。

橋本:そして岡崎選手と連係したのは2日目の白虎賞から準決勝ですけれども、岡崎選手も今回は男をあげましたね。

古性:そうですね。本当にめちゃくちゃ後ろ付いててキツかったですし、あんないいレースを4日間したんですけど、結局ラップの人みたいな感じになってしまいましたね(笑)ラップが上回ったっす。(笑)

橋本:あのラップは検車場や選手間でも話題になったんじゃないですか。

古性:いや、映像は流れてるんですけど、音は消えていることが多くてほとんど知らない選手が多かったですね。ただ、ツイッターとかで知った選手は多いと思います。 なので、中にいる選手よりも外にいた選手の方がみんな知ってると思います。

橋本:いや〜でも才能がありますね。岡崎選手。

古性:レースの反省点はなかったみたいなんですけど、ラップの反省点はあるらしいです。(笑)もっとこうしておけば良かった、と風呂場で話していて、韻の踏み方をもっとこうしたらクールでかっこよかったみたいなことを言っていて、新しく作ったやつをまた聞かせてくれました。(笑)

橋本:彼はどこを目指すんでしょう。(笑)ただ、ああいうインパクトのある特別選手紹介というのは、お客さんの心にも、これからずっと残るとは思います。そして白虎賞だけではなく準決勝も一緒になりました。

古性:そうですね。

橋本:正直、白虎賞は別にしても、準決勝に関してはやはり、古性さんとワンツーが決まるように、という意識で仕掛けるのかなと思ってたんですけど、全く迷いなかったですね。

古性:打鐘からは、白虎賞よりもマイペースで行っていたんですが、やはり最初のスタートでちょっと牽制入ったのであれでかなり脚が削られたんだろうなと思いますね。明らかに白虎賞と駆け方が違いましたし、残るように駆けてくれてるなという感じだったので、自分が出来るだけ援護したいなと思っていました。

橋本:そして決勝戦、単騎になりましたが、北日本が強力なシフトで九州も2段駆けがあるかもしれないという雰囲気でした。そんな中、どんな事に気を付けようと考えていましたか?

古性:正直、展開が読めなかったのでちょっと難しかったです。

橋本:もうその辺はもう流れに応じてということですね。そしてその決勝戦、手応えのようなものはありましたか。

古性:捲っていった時に、感触的には悪かったし、ちょっとやばいなと思って、絶対後ろの選手には差されるな、よくて2着か3着かなって感じだったんです。直前怪我したのもあるんですけど、ちゃんとした練習もできていなかったし、あまり良くなかったですね。

橋本:そんな状況の中でも後ろに抜かれることなく、地元でタイトルを取ったというのは、やはり古性さんの持ってるものによるところが大きいと思います。もちろん、努力があっての話だと思いますが、GIタイトルなどになってくると努力だけではない要素というのもあるのではないかと思います。

古性:練習はやっていたつもりですけど、どうなんですかね。真面目にはやってるつもりではいます。でも日本一練習してるかと言われればそういうわけでもないですし、日本一考えているかと言われても違いますし・・・うーんちょっと分かんないですね。

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橋本:普段から思うんですけど、古性選手って自分をすごく客観視する能力に長けてるというか。走っている時も、上で別の自分が自分を見てるんじゃないかなというふうに感じることがあるんですけど、その辺どうでしょうか。自分自身で分析するというのはちょっと難しいところもあると思うんですけど。

古性:BMXの時からの経験で、競輪を知らない素人の人に意見を聞くのも大事だと思います。やはり競輪選手でいってしまうと、競輪選手としての感覚をもとにしてしまう。素人の人は世間一般の感覚で話してくれるので、そういう面で何かをつかんで、普段からちゃんと客観視できるようにと思っています。
グランプリの時は特にセッティングをいろいろ変えていて、妻にいつのレースのセッティングが良いのかを聞いて、そのセッティングでグランプリに行きましたからね。 自分の感覚は捨てるというか、自分の感覚を抜きにしてやる方が結果が出るのかなと思うので、本当に常に客観的にいるように意識していますし、レースでもゲームみたいな感覚でいれたらいいかなと思いますね。

橋本:奥さんに聞いたセッティングでグランプリに!ちなみに奥様は自転車競技は素人ですよね。そのセッティングを選んだ理由とかも言ってくれるんですか。

古性:いえ、乗り方がこっちの方が良かった気がするみたいな感じですよ。(笑)
適当と言うか、この時の方が綺麗に乗ってる気がするといいますか。グランプリ前に3つぐらい候補はあったんですが、どれがいいと言ったら、これ、って言ったんで、そのセッティングでいったってことです。(笑)

橋本:人によっては、分からんくせに、男の仕事の話に口出しするなみたいなのあるじゃないですか。そのあたり、レースもそうですが、古性さんは柔軟ですよね。

古性:そうなんですかね。あんまり自分の感覚を信じてないっていうか、殻に閉じこもらないようにしてますけどね。自分が思っている感覚と他の人が見て思う感覚が絶対違うので、そこのズレはできるだけない方が絶対いいと思っています。

橋本:他のスポーツ選手との交流とかもあったりしますか。

古性:僕は特にないです。もう家から飲みに行ったり全くしないですね。家にしかいないです。(笑)閉じこもってますね。

橋本:家でゆっくりして、あまりそのあたりは興味がないのですね。他の競技をやってる人と接したりすると、人によっては参考になる部分もあると思うんですがそのあたりはいかがでしょうか。

古性:もちろん興味はあるんですけど、そういう機会もあまりないですね。それこそ先日、長谷川穂積さん(元プロボクサー)と対談する機会があって、お話させてもらったんですけど、こう言うのもいいなと思いました。でも自分は本当に付き合いがよくないのであんまりいないですね。(笑)

橋本:機会があったらというか、お誘いがあればちょっと行ってみようかな、くらいの感じなのですね。私は古性さんとは、もうデビューの時からずっとレースも見ていて、お話もさせてもらっていますけど、自然体ですよね。気負わないし。

古性:最初の頃は全然違っていたかなと思いますね。デビューした当初はもっと欲もありましたし、良い車乗りたいとか、良い物身につけたいとか色々欲があったんですけどね。今はあまり、なくなりました。

橋本:なんか「がつがつ」という感じがなくなったっていう感じですかね。

古性:良くも悪くもそうかもしれないですね。なんかがっついてる感じはなくなりましたね。

橋本:もうそれがなくなって、逆にちょっとこう哲学的な思考の方になったというか。

古性:まさしくそうです。前まではもっとこう、どんと物事捉えてたんですね。練習しとけばいいやろって(笑)。

橋本:そうなってくると、やはり怒りの感情が沸き上がってくるっていうことが減ってくると言うか、インタビューの受け答えとか聞いていても柔和になったなっていうのはありますか。

古性:そうですね。これまでは、やはり未熟だなと思うことが自分の中でも多々あって、例えば今年だったら一番車のユニフォームを着ているのに期待に応えられなかったとすると、感情的になりそうで、そこは自分の中でちゃんとやらなあかんな、と思うんですけど、でもやっぱりお客さんの期待に応えられないとなったら、悔しいなってピリピリしてしまいますね。

橋本:やはり勝負の世界に身を置いていると、結果に繋がらないとなかなか。

古性:もう本当に、普通の勝負の集まりだったらいいですけどね。でもお客さんのお金がかかってることなんで、ヘラヘラしてられない、と思いますね。

橋本:古性選手は「浪速の暴れん坊」というキャッチフレーズが付いていて、先にインを切って、後ろから来て、引けないと見たら飛びついて番手を力ずくでもぎ取って、そこからタテに踏むようなレースを数年ぐらい前までは頻繁に見てきたんですけど、最近は減りましたよね?

古性:減りましたね。やはりタテでシンプルに勝負できるのは、一番ラインで決まる確率が高いし、そのようなレースをしたほうがタイトルに繋がってくるんじゃないかなと思って、もっとタテでしっかり頑張りたいなと思いましたね。

橋本:意識的に自分の中でスタイルはちょっと変えてみようかなと思ったのはどういった理由ですか?シンプルにタテの方が良いっていうのは脇本選手の存在もありますか。

古性:それもそうですし、やはり近畿の先輩方に信頼してもらえるためには、ちゃんとラインで引いて、ゴタゴタするより・・・と思ったりもしますね。だけど、やはりGIとかになってくると、引けないところも出てきたりするので。

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橋本:もちろんまだまだ強くなっていくっていうのが古性選手の中では一番の目標だと思うのですが、何か明確なものはありますか。

古性:競輪学校の時にグランドスラムという夢を掲げたんですけど、滝澤校長(滝澤正光・日本競輪選手養成所第23代所長)にダブルグランドスラムにしろって言って変えられたんですよ。(笑)

橋本:滝澤さんの無茶振りですね。(笑)

古性:でも僕の感覚でいうと、グランドスラムを目標に設定すると、グランドスラムってできないんですね。ただダブルグランドスラムを目標にするとグランドスラムはできる気はするんです。大概今までの経験上目標を下回ってきたので、もうどでかい目標にして、それを下回って、グランドスラムぐらいで。(笑)その理論でいえばダブルグランドスラムしようと本気で思ってたらトリプルグランドスラムとかですね。(笑)

橋本:道のりはまだまだですね。

古性:まだまだですけど、マイペースにしっかり頑張っていけたらいいかなと思っています。

橋本:そうですね。これからも大きい戦いが続きますけども、体には気をつけて。 また暑い時期になってきますからね。

古性:ちょっと今年やばいっす(笑)。まだ6月で。これは8月どうなるのかなって怖いですね。

橋本:本当に体調だけは崩さずに、ご活躍を期待しております。では最後にメッセージを一言お願いします。

古性:そうですね。目の前の一戦一戦を頑張って、皆さんに応援してもらい、また頑張りたいなと思います。

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※インタビュー / 橋本悠督(はしもとゆうすけ)
1972年5月17日生。関西・名古屋などでFMのDJを経て、競輪の実況アナウンサーへ。
実況歴は18年。最近はミッドナイト競輪in小倉を中心に活動中。
番組内では「芸術的なデス目予想」といういいのか悪いのかよく分からない評価を視聴者の方から頂いている。

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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社

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