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平原 康多選手

2024年04月09日

埼玉の総大将として数々のGIタイトルを獲得した平原康多選手(埼玉87期)。しかし昨年は度重なる落車による怪我との闘いに苦しみました。
今年約10年ぶりにS級1班として戦う中で3月には通算500勝も達成しました。
500勝に対する気持ちや現在の身体の状態、今後の目標などを伺いました。

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ナッツ:通算500勝おめでとうございます。

平原:はい、ありがとうございます。

ナッツ:500勝のお気持ちはいかがでしょうか。

平原:正直500勝だからってのは全然自分ではなんとも思ってなくて、周りがなんかやたら言ってくれてるんですけど。笑 自分はそんなに意識は何にもないです。

ナッツ:白星の数っていうところに対しての意識は元々ないのでしょうか。

平原:全然意識しないでここまできた感じですね。一走一走の積み重ねで気付けば、みたいな感じですね。

ナッツ:周りから言われて、そろそろ500勝だなっていう感じはありましたか。

平原:ああ、こんなところまで来たんだって感じはありましたね。

ナッツ:21年かけての500勝という数字、そのあたりはいかがですか。

平原:そうですね、やっぱり500ってのは相当な数だとは思うんで、結構積み重ねてきたんだなっていう感覚ですね。ちょっとしみじみっていうような。

ナッツ:生涯成績を見ると、平原選手は2着や3着に比べ、1着の数が圧倒的に多くて勝ち切っているレースが多いのですが、そこに対してはいかがですか。

平原:いや~そんなことはないと思うんですけどね。
若い頃は結構2~3着も多くて。先行しても2~3着が多かったイメージがありますね。
なんか1着ってそんなに取れてるイメージは自分ではなかったんですけど。笑

ナッツ:ということは、そこから年齢を重ねるにつれて1着を取れるようになってきたと。

平原:戦法的にも先行一本というより、自力自在という感じの戦法になってきて、そのタイミングで一着が増えてきたような気がします。

ナッツ:ちなみに、その500勝を達成したことに対するお祝いはなにかされるご予定ですか。

平原:全然全然。なんか支部の人に報告会みたいなことをしてくれとは言われますけど、自分ではそんなに特別な感じがなくて、神山さん(神山雄一郎選手・栃木61期)の900勝というのを見るとお祝いしていいのかなとか。笑

ナッツ:確かに周りにすごい方もいらっしゃいますもんね。その500勝を達成したレースは玉野記念でした。初日は眞杉匠選手(栃木113期)、2日目は森田優弥選手(埼玉113期)に前を任せるレースでした。自力で白星を積み重ねてきたところから、最近はこうして後輩に前を任せるレースも増えてきました。後輩に前を任せての節目の勝利というのは今までとは違うと思うのですが、その辺りは平原選手としてはいかがですか。

平原:そうですね、やっぱりそれは年齢もあるし、自然の流れで人の後ろになることが多いんですよね。そんな中で、そうなった時にもう全く勝てないとかじゃなくて、与えられたところでしっかり結果を出せるようには努力してるつもりではいるので。そういう自力とは違う難しさはあります。ただ、自分ではまだ精度が高くないので人の後ろではまだまだだなっていうことも多いですね。

ナッツ:そのあたりの技術に関しては、まだ上を求めていきたいのですね。

平原:前の人にはいろんなタイプがあるんです。前の人に合わせるってことはすごく難しかったりするんです。タイミングのズレとかで遅れちゃったりするし、それで迷惑かけることもあるので、そういう難しさを感じながら、色々とそういうのは、レースでしか修正できないので考えながらやっているって感じですね。

ナッツ:平原選手はご自身で年齢のことを口にする印象があって、やはり年を重ねてきたという部分に対してはご自身の中ではもう逆らわずに、年を重ねたら重ねたなりのレースを、というようなイメージなんでしょうか。

平原:うーん、そうですね。どちらかというと年齢がどうこうよりも、自然と若い選手が出てきて、自分も40歳を過ぎているわけじゃないですか。なんかそれが、自分も若い時に30代後半から40代の選手とかもやっぱりいたわけで、そういう選手がどういう感じでやっていたのかなと思い浮かべると、なんか今自分がそういう場面なのかなとか思ったりしますけどね。

ナッツ:相対的に若い選手が増えてきた中で自然と、なのですね。その中で平原選手はまだまだ自力で戦いたいっていう気持ちは強いのでしょうか。

平原:自力の力は落としてはいけないなって、いやむしろあげていかなきゃいけないなっていう風には当然思っています。それがなくなっては何もできないと思います。そのイメージはしっかり持って、その中でレース自体は、絶対僕は自力でやりますとかそういうのじゃなくて、年々変わってくるので、自力でやる時はしっかりやりたいですし、人の後ろを回った時は、人の後ろでしっかりやりたいなっていう感じですね。

ナッツ:人の後ろを回る時に、平原選手の中で意識されていることはどういうことでしょうか。

平原:まずはやっぱり前を回ってくれる人が走りやすいように作戦会議からサポートできるかっていうところからですね。あとは自分自身はその人のタイミングにしっかりと遅れないようにっていうような感覚があります。

ナッツ:その作戦というのも、前を走る選手によってはご自身で決められたりとか、先輩に意見を仰ぐ方だったり様々だと思うのですが、そのあたり平原選手は、作戦会議の時はしっかりとご自身の意見や考えを伝えるのでしょうか。

平原:やっぱり相手がいることなので第三者目線で見て、周りの選手のスタンスと照らし合わせてどうした方がいいかとか。車番とかもありますし、1番有利な作戦を考えてもその通りにならないので、1番不利な感じから何パターンか考えてという感じですね。

ナッツ:やっぱりお話聞いてて、本当に平原選手は物事を俯瞰して見てるような印象がすごく強いですね。

平原:いや~そういう時とそうじゃない時はありますよ。笑
難しいですけどね。常にそういうわけでもない感じですがレースの作戦を立てる時はこういう目線ですかね。

ナッツ:ちなみにこの21年間でご自身の中で印象に残ったレースは何かありますか。

平原:印象に残ったレースは。岸和田のグランプリ(2014年)と静岡のグランプリ(2018年)ですね。岸和田に関しては、武田さん(武田豊樹選手・茨城88期)の前で走って武田さんがグランプリを優勝したことが嬉しかったですし、静岡に関しては、落車してしまって最後は自転車を持ってゴールしたのですが、本当になんか違う意味でお客さんと1つになれた舞台だったなという風に感じるというか。落車しても、なんかすごくお客さんがこう...ゴールまで運んでくれたというか、拍手もすごかったですし、選手やっててよかったなって思えた2つのレースだったんです。

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ナッツ:自分が勝ったレースではないのを挙げるあたりが平原選手らしいですね。

平原:自分が勝ったレースで印象に残るものが浮かばないんですよね。勝ったらそれはそれでやっぱり嬉しさは当然ありますけど。この2つは勝つこと以外で味える喜びを感じたなあと思いますね。自分が勝って印象に残ったレースは今後また作っていけばなと。

ナッツ:その中で、平原選手にとって昨年は苦しい1年だったと思うのですが、いかがでしたか。

平原:やっぱり落車も多かったですし辛かったですね。

ナッツ:その中でも平原選手って本当に弱みを見せないというか、飄々としているなっていう印象がやっぱりあるのですが、ご自身のメンタル面はいかがですか。

平原:飄々とはしてるかもしれないですね。でもメンタルは強くないと思います。強くはないけど強ぶってるだけなんです。笑

ナッツ:それはやっぱり表には見せるべきじゃない、という言い方はおかしいかもしれないですが、悔しさなどは自分の中で消化して、という感じなんですか。

平原:そうですね。人に当たりたくないですし、レースの負けを人のせいにするのはちょっと違うなと思ってますし。それは先にやっぱ繋がらないんですよ。自分の成長に全く繋がらないから。その場では良くても、もう結局何の成長にも。
もちろんミスがあったらその時に色々話して、今後そういう風にならないように話したりはしますけど、別に人のせいにはしないですし、自分でその時にどうできたかなっていう風に考えないと、成長はやっぱりないですよね。終わりですよね。去年落車で大怪我を何度もして、今年もそれをちょっと引きずっている形ですけど、結局自分が強ければその位置にいなくて、落車に巻き込まれないってのが極論としてはそうなので。自分の力がないから、そういう巻き込まれちゃうような位置にいるわけだし。そういう風に考えてまた体を戻してる段階なんですけど、その繰り返しですね。

ナッツ:そう言われたら、確かにそれが成長につながるんだろうなっていうのは感じますけど、それを実際にやっぱり実現するのって、難しい選手も多いんじゃないかなとは思います。やっぱりそのあたりはさすが平原選手というか。

平原:いや、現在実現できてないんです。笑
しっかり怪我を治せてないので、大きなことも何も言えるようになってないですし、なんとも言えないですけど。

ナッツ:ただ今年は少し復調気配があるような雰囲気もありますがいかがですか。

平原:そうですね。でも自分の納得いく段階では全然ない。でもなんて言うんだろう。
自分が元々やってたような練習はできるようになってきたので、そういう意味ではプラスになってきて。もうすぐレースでちゃんと元通り踏めるようになってくるのかなという感覚はあります。

ナッツ:もう少し時間が経過すれば戻ってきそうなのですね。

平原:そうですね。正直何年か前も結構落車が多くて、でもそれなりにケアをしていたら割とすぐ身体が戻ったような感じだったんです。自分の中でちゃんと回復して。ここまでの大怪我がなかったというのはありますけど。ただ去年、ちょっと大きなものが連発できちゃってその蓄積もありますし、初めてのことが多くてなんか他人の身体になっちゃったな、という感じだったんです。

ナッツ:他人の身体というのはどんな感じなんでしょうか。

平原:本当にそもそも0にすら戻せていないような感じでしたね。
同じ自転車に乗っても、全然痛くて踏めなかったりってなってくると、やっぱり色々ポジションを動かさなきゃならないってなるし、それに伴ってできる練習も限られてきてってなると、ほんとにわけのわかんない状態になってきたり。本当に悪循環で、それがようやく0ぐらいになってきたかなっていう感覚がありますね。特に去年はやっぱり自信を持ってレースに行けてないですし、それがわかった状態で競争に行くっていう辛さもあったんですけど、でもこういう経験がまた先々絶対活きてくるかなとか、活かさなきゃいけないなっていう風に自分では思ってますね。

ナッツ:その辛い中でも休まずにレースをずっと走り続けてるなっていう印象があるんですけど、平原選手の中で、走り続けることへの責任感があったのでしょうか。

平原:やっぱりそうですね。SS班の立場っていうのもあったし、なんかお客さんの前に出て頑張ってる姿を見せた方がいいのかなとかっていうのもあったし。まあでもかなり無理してた部分はあります。でも最初にそういう風に考えで自分の中で決めたんで、今思えばしっかり休む選択の方が思えば良かったのかもしんないですけど、そこでかなり悔しい思いとかもしたので。今後お客さんに恩返しできるように、仲間に恩返しできるように、自分が戻れるように頑張りたいなっていう風に今自分で思えてるので、その経験をプラスにしたいなと思ってますね。

ナッツ:最近は他地区の人との連係をするっていう方もいる中で、平原選手も深谷知広選手(静岡99期)だったり脇本雄太選手(福井94期)との連係もありました。その辺りの意識はご自身の中ではどうなんでしょうか。

平原:深谷に関しては何度も付いてくださいって言われてて。今年の大宮の時に付かせてもらいましたね。それも成田さん(成田和也選手・福島88期)の一声で、ちょっと考えが変わったりっていうのもありましたけど。もちろん別に誰でも彼でも付こうとは思ってないですけど、やっぱりこう、自分の中ではこの選手はすごいなとか、リスペクトがある選手であれば回ってみたいなとは思いますけどね。ただ基本的には、そういう時は自分でなんとかしたいなとは思います。

ナッツ:やっぱり平原選手から見てもこの人にならっていう人で、例えば今後開催一緒になってタイミングがあればつく可能性はあると。

平原:みんなそういう感じなんじゃないですかね。自分の中の線引きがあって、この人だなって思う選手であれば。深谷と脇本っていうのはそういう選手ですし、若い頃には坂本貴史選手(青森94期)にお願いされて付いたこともあります。あまり周りは知らないんですけどね。笑 昔は他地区だからどうだとかそういう考えはなかったのですが、今はそういう感じではないですし、安売りしてるわけじゃないんですけど、本当に脇本は自分の中でも本当にライバルとして戦ってきたしリスペクトもあったのと、そういう場面だったので。悩みましたけど、そういう感じになりましたね。

ナッツ:その中で関東勢の若手も本当に成長が著しいと思いますが、平原選手の中ではどうご覧になってますか。

平原:頑張ってる選手も多いと思いますね。すごく。あ、でも今他地区の話が出ましたけど、別に同地区だから絶対付かなきゃいけないっていうわけではないと思うんですよね。
他地区でも先行選手で頑張ってる選手でプライド持って走っている選手の方がやっぱり魅力があるし、同地区でも何もしないで終わる選手なら、自分でやっていた方が悔いがないし、同型で同じようなレベルになっているんだったら別線勝負で、と僕は若い頃はやってきたんで、無理に並ぶ必要なんて全然ないと思いますね。だからそういう観点で考えたら、他地区だからどうとかっていうそういう感覚はちょっと難しいところですね。

ナッツ:なるほど。裏を返せば、関東の若手はしっかりとしているっていうのがあるからこそ、付いているということですね。

平原:しっかりした考えで、頑張りますっていう感じだから付いてるのはありますね。
それでこっちもお願いしますって付かせてもらってますけど、そうじゃないんだったら別でやればいいですし、それで全然いいと思います。若い選手だから付こうとかは全然思ってないんで。

ナッツ:それを平原選手自身が自分の同地区の若手にご自身の口で言うことはないですよね。もう背中で見せているというか。

平原:いや、背中では見せてないですけど。笑 でもあんまりこういう深い話をすることってなかなかないんですよね。でもやっぱり、若手同士でちゃんとそういう話をして頑張ってる子が多いんじゃないですか、関東って。そうじゃなかったら前で頑張らせてくださいってそもそも言えないと思うし。その裏付けがあるし、できるように頑張ってるんだなと思いますね。それは自分自身もそうですし、この人の為なら頑張りたいなって思う、思われるような選手でいなきゃいけないなと思いますね。

ナッツ:そんな後輩の頑張りもあって今回500勝を達成したわけですが、今後の目標はどういったところに置いていますか。

平原:いや、もう本当に一戦一戦、ちゃんと自分の力を戻せるようにしたいですね。
もう本当に1番先の目標みたいなのが何も見えてないので、まずはマイナスから0の状態に戻すことからですね。そしてそこから初めて、身体作りして勝負できるような状態にしたいなって思っています。

ナッツ:長期的にGIを獲る、とかの目標の前に、まずはしっかりと0の状態にというところが目標なのですね。

平原:そうですね。自分の状態が悪ければGIやGIIの権利も取ることができないですし。
やっぱり自分の実力がなかったら何もできないので、今は大きな目標を言えるような状態じゃないですね。本当に今はちゃんとした走りがお客さんの前でできるようになりたいと思いますね。

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ナッツ:ファンからすると、やっぱり平原選手にグランプリを、と思ってる方も多いと思うのですがその辺りはいかがですか。

平原:走っている時にお客さんにそう言ってもらえてるのはありがたいんですけど、なんか、そういう風に言ってもらえてるからこそ、「どうなってんだよ俺の身体」って思っちゃいますね。笑 そこがなんかすごくもどかしいところですね。なんかそれに応えられないというところが本当に。だからしっかりとまた権利を取れるように頑張っていきたいです。

ナッツ:またここから平原選手が復活することを一ファンとしても願っています。では最後にオッズパーク会員の皆様へ一言お願いします。

平原:1日でも早く元の"平原"という身体になんとか戻していきたいなと思います。そして頑張って怪我との闘いに打ち勝ちたいなと思ってます。今後も応援よろしくお願いします。

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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一念発起し脱サラ。2022年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。

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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社

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