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雑賀 正光 調教師(高知)

2020年03月31日

地方競馬での歴代最多勝利記録(記録の残る1973年以降)を更新し続けている雑賀正光調教師(高知)。1月29日には地方通算3500勝を弟子の永森大智騎手で達成しました。「目標は4000勝」と前人未到の数字を掲げ続ける雑賀調教師。あと500勝に迫ったいまのお気持ちや、かつて管理したグランシュヴァリエ産駒での重賞初制覇などについて伺いました。

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地方通算3500勝達成おめでとうございます。以前から4000勝が目標とおっしゃっていましたが、あと500勝となってのお気持ちはいかがですか?

ありがとうございます。うーん、実は3500勝というのはあんまりピリッとは感じていないんです。3500勝を目標にこしらえていたら、4000勝までが遠いので。4000勝を目指していたら、この数字は誰でも通る道だと思っています。

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地方通算3500勝をセキセキで達成。鞍上は永森大智騎手

(写真:高知県競馬組合)

あくまで通過点で、意識はされていなかったんですね。

そうです。騎手でも2000勝を目指していたら、達成した後は油断して乗れなくなるので。2000勝を目指す人は目標として3000勝を置きますし、3000勝の人は4000勝を目標に進んでいます。だから長続きもするし、乗れます。それは下原(理騎手、兵庫)に言ったこともありますし、うちの永森にも「2000勝を目指すんやったら、3000勝を目標にせんかい」って言っています。

下原騎手はたびたび重賞のスポット騎乗で雑賀厩舎の馬に乗っていますが、そういうお話もされるのですね。他地区のジョッキーで言えば、昨年は高知優駿で御神本訓史騎手(大井)がナンヨーオボロヅキに騎乗し、見事勝利。大井のトップジョッキーを高知に招聘するなんて、雑賀調教師の偉大さが伝わってきました。

何の気なく、「御神本、乗れるか?」って言ったら、ちょっと考えよったけど、「乗ります」って。そしたらみんなから「高知に乗りにくるなんてビックリした」と言われて、私もあんなに騒がれるとは思わなくてビックリしました(笑)。

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御神本訓史騎手で2019年の高知優駿を制したナンヨーオボロヅキ

(写真:高知県競馬組合)

御神本騎手は2010年、騎乗停止・自粛明けに高知で3カ月の期間限定騎乗を行い、その時の所属が雑賀厩舎でしたね。

預かってほしいと言われた時、「(元騎手の)私より腕もセンスもある一流ジョッキーで、教えることは何もありません」と一度は断ったんです。騎乗に対しては全然言うことはありませんでした。御神本と本橋(孝太)は今でも母の日には私の妻に胡蝶蘭を贈ってくれます。

管理馬の話題では、重賞4勝を挙げ、マイルチャンピオンシップ南部杯JpnI・3着のグランシュヴァリエの産駒が昨年デビューしました。雑賀厩舎にも昨秋以降、門別から移籍してきましたね。

やっぱり姿、形、気性面がよう似ています。3頭がうちに来て、それぞれ違いますが、それでもやっぱりよう似ています。

中でも門別で2勝を挙げて移籍したリワードアヴァロンは先日、土佐春花賞で重賞初制覇を果たしました。

ええ勝負根性のある馬です。前の馬を抜くと止めるような悪い面もお父さんから引き継いでいますけど(苦笑)。土佐春花賞ではソラを使いかけましたが、永森が上手いこと乗りました。スピードはあるし、ジョッキーも父仔二代で乗っています。高知で父仔二代で乗る騎手って永森くらいじゃないですか!?

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リワードアヴァロンで土佐春花賞を制覇

(写真:高知県競馬組合)

調教師で父仔二代を管理というのもなかなかないケースのように思います。

そやからね、やっぱり他の馬と違って、「もうちょっと...!」って気持ちが出てきますね。リワードアヴァロンはお母さんもうちの厩舎やったので、孫みたいなもんで嬉しさも倍です。スピードがあるので脚元に気をつけながら、王道の3歳路線でいこうと思っています。永森は「距離延長が課題」と話していますが、私は大丈夫だと思っています。全弟も4月に入ってくる予定です。

兄弟ともども楽しみです!ところで、ここ数年は地元や全国リーディングから少し離れていますが、奪還への思いは?

リーディングを取ろうと思ったら、脚元の丈夫な馬を預かった方がいいと思うんですが、脚元に不安を抱えた馬をやりたいんですよね。ここ3年、それこそリーディングからちょっと離れたくらいの時から故障馬を触るのがさらに好きになりましてね。年を取った人が盆栽を触る感じで、脚元を治しながら走らせるのは本当に楽しいんです。

手をかければかけただけ応えてくれる醍醐味があるのでしょうか。2018年の黒船賞を制覇したエイシンヴァラー(当時は兵庫所属)も脚元に不安を抱え、今年はじめに雑賀厩舎に移籍してきました。

少しレースから離れたので、脚元も良くなってきています。高知に来て1回使ってから良くなって、こないだ勝ってくれました。この馬とは縁があるんです。黒船賞を勝った時、厩務員さんはゲートで、新子(雅司調教師)は取材の人に囲まれちゃって、馬を迎えに行く人がいなかったので、私が飛んで行って、採尿検査まで連れて行ったんです。それも少し頭の中にあって、オークションに出てきた時に馬主さんに勧めました。

改めて4000勝への思いを聞かせてください。

言った以上、4000勝を達成するまでは現役を辞めず、精一杯やります。

最後にオッズパーク会員のみなさんにメッセージをお願いします。

高知競馬は一番先に潰れるところやったのに、ホンマによぉ残ったと思います。馬主も調教師もみんなよぉ我慢したけど、それ以上に主催者が偉いです。恥も見栄もすべてなくして、商売に徹しました。そして、こうして高知競馬のファンがついてくれてありがたいです。これからも応援よろしくお願いいたします。

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※インタビュー / 大恵陽子

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